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物言う株主エリオットが狙った東京ガスの「急所」 低株価の原因見抜き、還元、資産売却へ圧力

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 8時10分

特に海外事業については、4000億円近い大金を投じて買収したアメリカのシェールガス事業がガス価格下落のあおりを受けている。海外事業は資産規模が1兆円に積み上がる一方、利益率は1%台に沈んでいる。ネットワーク事業は投資がかさみ、2023年度には赤字に転落。2024年度も総資産利益率(ROA)はわずか0.2%というありさまだ。

東ガスの株価低迷にはほかにも理由があった。「期初時点でコミットしている利益水準が低いことが、市場での評価の低さにつながっていた。その後に上方修正がなされたとしても、評価は得られにくい」(みずほ証券の新家氏)。

そうした中、笹山社長から「中計で掲げたセグメント利益1500億円を上回る1800億円程度の利益レベルが必要と認識している」との前向きな発言があった。新家氏はこの発言に、今までになかった経営陣の「本気度」を感じているという。

もっとも、どのような手だてにより1800億円程度の利益レベルを実現させていくのかについて、笹山社長ははっきりとは示していない。

中計最終年度の2025年度はネットワーク、海外事業ともコスト削減や再編効果が現われるため、一定の改善は期待できる。ただ、「1800億円という利益水準について明確にコミットしたとまでは言えない。市場の信頼度を高めるためにも収益改善に向けての具体的なアクションとともに、きちんとそのシナリオを説明できることが大事だ」(新家氏)。

そんな中でにわかに注目度が上がってきたのが、東ガスが持つ不動産の行方だ。含み益を持つ不動産を売れば、手っ取り早く利益をかさ上げすることができる。

東ガスは電力・ガス企業でも随一とも言える価値の高い不動産を保有している(下図参照)。2024年度の有価証券報告書によれば、東ガスの賃貸等不動産の時価は5814億円にのぼり、その含み益(簿価との差額)は4500億円近くに達している。

関西電力や大ガスと比べても保有不動産の価値の高さは歴然としている。不動産を中核とした都市ビジネス事業の2024年度の予想ROAは7.0%と、最大の事業であるエネルギーソリューション事業のそれを上回る(前ページ図参照)。

エリオットの要求にどう応えるのか?

東ガスが持つ不動産としては、東京都新宿区の新宿パークタワー、港区・田町の「msb Tamachi」(ムスブ田町)、江東区・豊洲の広大なガス工場跡地、中央区八重洲の旧本社ビル跡地などが知られている。さらに本社ビルの土地建物などを含め、エリオットは東ガスの不動産価値を約1.5兆円と弾いていると前出の関係者は指摘する。そしてその価値を精査したうえで売却可能性を探るように求めている。

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