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「推しの子」舞台地に"神の町"が選ばれた深い理由 宮崎県「高千穂町」が秘める"すごいポテンシャル"

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 9時50分

さらに、『【推しの子】』聖地巡礼スポットとしても有名な、前述の「荒立神社」。天孫降臨の際に、神々を案内した猿田彦命(さるたひこのみこと)と天鈿女命(あめのうずめのみこと)が結婚して住んだ地といわれ、天鈿女命は、歌、舞いや芸能の神として祭られていることから、ここが「芸能活動にご利益のある神社」とされていました。

そして、これら神社の多い高千穂でもその中心にある「高千穂神社」。高千穂神社は、瓊瓊杵尊などの神々を祭神とする神社で、高千穂郷八十八社の総社です。神社本殿と、鉄造の狛犬が国の重要文化財に指定されている、由緒あるお社です。

どこも神聖な雰囲気で、非日常の気分を味わえるスポットとなっています。

また、名勝天然記念物にも指定されている「高千穂峡」に行くには、その高千穂神社から、渓谷に向かって坂道を下りていきます。谷底にあるのが「真名井の滝」で、渓谷に流れ込む豪快な滝の様子は、ボートに乗れば下から間近に見ることができます。行くのは少し大変ですが、必見のスポットですね。

他に代えがたい「高千穂あまてらす鉄道」の魅力

そしてもう1つ、高千穂に来たら必ず訪れたい場所が、『【推しの子】』舞台地、荒立神社のすぐそばを通る「高千穂あまてらす鉄道」です。

「鉄道」といっても正式な鉄道ではなく、かつて鉄道だった線路を活用して、そこにトロッコ列車を走らせるという、いわゆる「保存鉄道」としての観光列車です。

もともとは延岡市から高千穂まで走っていたかつての高千穂鉄道(旧・国鉄高千穂線)で、2008年に廃止された線路の一部(末端の5.1キロ)を使って、2013年からトロッコ列車を運行しています。

出発点は、「高千穂駅」。山深い高千穂町の中心部、谷底のような場所にあります。筆者が前に来たのは30年前の高千穂鉄道時代ですが、駅舎内には、今でも当時のままの時刻表や車庫が残されており、懐かしさを感じる空間になっていました。

その廃線跡を走る、「グランド・スーパーカート」と呼ばれるトロッコ車両は60人乗り。トロッコはこの高千穂駅から家族連れなどを満載して出発すると、さわやかに風を切って進みます。トンネル内では、車両に設置されたプロジェクターから発する光の演出も。乗客を飽きさせません。

そして、車窓のハイライトは、高千穂鉄道時代、日本一の高さの鉄道橋として知られた「高千穂鉄橋」です。水面までの高さ105メートル。トロッコは橋の真ん中で停止します。ここで運転手さんがシャボン玉を飛ばしてくれるサービスがあります。

トロッコは高千穂鉄橋を渡り切ったところで折り返し、「天岩戸神社」の最寄り駅だった天岩戸駅跡を通り過ぎて高千穂駅に戻ります。往復30分のトロッコ列車の旅です。

いざ、『【推しの子】』と日本神話の聖地、高千穂へ

世界的ヒットで実写化も話題となっている『【推しの子】』。その舞台地である高千穂は、実際に行ってみると、漫画に劣らず神秘的で、歴史やスケールの大きさを感じる町でした。

11月から、高千穂の聖地巡礼スポットで特別な音声ガイドが聞ける、「【推しの子】×高千穂町」のコラボキャンペーンもスタートしています(2025年3月末まで)。

作品をきっかけに高千穂の奥深さに触れることで、改めて日本神話の聖地巡礼にも出かけてみたくなる、そんな魅力あふれる町だと思います。

【写真を見る】「【推しの子】といえば…」外せない“聖地”と可愛すぎるトロッコ列車(10枚)

古関 和典:ロケ地研究家、コンテンツツーリズム研究家

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