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スキマバイト「エリクラ」サービス終了の急展開 ごみの不法投棄を余儀なくされる実態があった

東洋経済オンライン / 2024年12月20日 8時20分

東洋経済オンラインでは、9月13日と10月25日の2回にわたり、連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」で、こうした問題についてリポートしてきた。

この間の取材では、エリクラを通して働いた当事者たちがマンションや駐車場清掃などで出たごみの処分方法について「違法だと知っているが、家庭ごみとして出している。雑草や枯れ葉が入った45リットル入りのごみ袋2つ分を捨てたこともある」「自宅のごみステーションに捨てていたが、(自治体の規定を調べてみたら)有料のごみ処理券を買わなければならないことがわかった」「少量だったので、帰り道に公園のごみ箱に捨てていた」と証言。結果的にごみの不法投棄につながっているケースがあることがわかった。

また、利用者からは、エリクラでは清掃の業務量そのものが予想外に多かったり、終了後の報告作業にも時間がかかったりして目安時間内には終わらない現場があるといった声も複数上がっていた。

ある利用者はマンションのごみ集積所の分別の仕事を「23分、638円」で請け負ったものの、想像以上にごみの量が多かったうえ、エリクラへの報告として作業中の手元などを映した写真約30枚を添付、送信しなければならなかったため、作業終了までに1時間半かかったという。

時給に換算すると、420円ほどで居住地域の最低賃金をはるかに下回る水準。しかし、業務委託なので違法ではない。別の利用者は「ただでさえ少ない報酬の中から、さらにごみ処理のための費用を捻出する余裕なんてありません」と、不法投棄を余儀なくされる実態があることを訴えていた。

これらの指摘に対し、リクルート広報は「(ごみの廃棄方法などについては)最終的には各自治体が判断することですが、結果として指摘されたような事態が起きていたことは否定できない」などと回答。サービス提供の在り方を改善する方針を示していた。

ごみ問題とサービス終了の関連は?

こうした報道から約2カ月後の12月18日、「サービス終了のお知らせ」がアプリを通して各利用者に通知された。「働き方の多様化が進む現代において、皆様のおかげで歴史の一端を担えたことをとても感謝しております」などとワーカーへの言葉もつづられていた。

取材に対し、リクルート広報は「事業環境の変化やサービスの利用状況などを総合的に判断し、サービスを終了させていただくこととなりました」と説明。一部で不法投棄に当たるケースが確認されたことと、サービス終了については「関係ありません」と回答した。2025年6月末のサービス終了に先駆け、同年5月15日に新規会員登録の受け付けを終了する。

取材で話を聞かせてくれた50代の男性は本業を持ちながら、10回ほどエリクラを利用。今回のサービス終了について「目安時間内に終わらなくても追加で報酬が支払われることもない。無理な負担を求められるのは働き手側で、得をしているのは発注元の管理会社だけではと感じました。このような不公平なシステムがなくなるのはよかったと思う」と話した。

別の40代の男性は「突然の『お知らせ』にびっくりしました」としたうえで、「エリクラが終了しても、同じような集客サイトはほかにもあるので、掃除の仕事が買いたたかれたり、不法投棄をせざるを得ない現場が一部で生まれる状況は変わらないのでは」と指摘した。

エリクラのほかに、業務委託契約に基づき清掃業務などを紹介するインターネット上のサービスとしては「COSOJI(こそーじ)」「ご近所ワーク」などがある。

藤田 和恵:ジャーナリスト

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