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映画【推しの子】"絶妙すぎる配役"決まった背景 ドラマ・映画版プロデューサーに聞く(後編)

東洋経済オンライン / 2024年12月21日 9時41分

――原作者のお2人とのやり取りはどういう形でやられていたんですか?

企画が通ったときから赤坂先生には脚本を見ていただきたいとお願いしました。やはりこの作品は赤坂先生なしにはつむげないものなのですから。

一方で横槍先生にはアイドル衣装や楽曲を中心に確認していただきました。本作をつくるうえで、お2人に背中を押してもらっていたので、ものすごく心強かったですね。

斎藤飛鳥さんから一度オファーを断られた

――キャスティングが非常に絶妙でした。特にアイ役の齋藤飛鳥さんは、一度はオファーを断ったと話していました。

齋藤さんには一度お断りされてしまいまして……。どうしようかなと途方に暮れてしまい、社長の吉村には「もうAIでつくるしかない」と本気で話したくらいに、齋藤さん以外にアイを演じられる方はいないと考えていました。

ただ、なぜ断られたんだろうと思いまして。もう1回チャレンジできないかとお話をしたら、お会いしていただけることになりました。ただ、ご本人の中でのアイのイメージというのが、アイの陽の部分というか、完全無敵というか。そのイメージが相当強かった。

しかし、そうではなく、アイというアイドルの影の部分を、“齋藤飛鳥”が持ち合わせている影をもってなら描けるんじゃないか、ということをお伝えさせてもらいました。

少し時間をおいて、結果的に腑に落ちたところがあるとおっしゃってくださった。やはり齋藤さんのこれまで培ってきた圧倒的なキャリアと、芝居ができる点。そしてプラス、彼女の人間性みたいなところに魅力があふれていました。

――齋藤さんに一度断られてもあきらめられなかった思いはどんなところにあったのでしょうか?

これは本当に安い言葉に聞こえるかもしれませんが、今回は絶対に妥協したくなかったんです。さまざまなポイントで妥協したら絶対に作品が良くならないと思いました。やっぱり企画を立ち上げた私が、腑に落ちてない点があると、それが周りにきっと伝わってしまうと思っていました。

確かに一度断られて、もう1回行くっていうのはあまりないです。ただその機会をいただけたのなら、その話し合いで絶対やっていただけるように、ご納得いただきたいと思っただけです。

大人な事情のキャスティングは一切ない

――アクア役の櫻井海音さんや、ルビー役の齊藤なぎささんなどのキャスティングも、適材適所の人たちをキャスティングしたように見えるのですが。

そこはやはり芸能界にいる人間が芸能界のことを描くので、お芝居できるのは当たり前なうえで、彼らのキャラクター、生い立ち、バックグラウンド、性格や素養など、すべてが画面ににじみ出るようにしたかったんです。

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