「海に眠るダイヤ」2018年を描く"最大の謎"の真相 現代編の設定が、なぜ「2024年」ではないのか
東洋経済オンライン / 2024年12月22日 14時0分
あんなに純粋で微笑ましいカップルだった鉄平と朝子(第6話終盤の2人のやりとりは名場面)の顛末には胸が痛む。
最終回直前、第8話の時点で、鉄平の行方はわからない。玲央が何者かもまだわからない。
玲央はいづみ(朝子)が持っていた鉄平のノートを読み、端島の歴史を知っていく。すると、端島のことが玲央のなかで身近なものとなっていく。
端島のことを何も知らなかった平成時代に生きる若者が、戦後、高度成長期の日本の地方に暮らす人たちの歴史や暮らしを知り、百合子や賢将の写真を見ると「俺ん中ではさ有名人だから嬉しいわ」と親しみを覚えるのだ。
そして玲央は変わっていく。
彼が勤務していたホストクラブが犯罪行為をしている(女性の売春をあっせんしている)ことを知ると警察に通報し、自らも犯罪に加担したと潔く自首するのだ。
何が彼を突き動かしたのか。
「笑いたいんだよ。本気で笑って生きたいんだ」と玲央は言う。ホストクラブでかりそめの空虚な笑顔でごまかす日々を終わらせて、「思いきり笑って誰かのために泣いたり幸せになってほしいと願ったり」したいと玲央は目覚めたのである。
誰かの幸福を願いながら笑いながら生きる日々を、玲央は「ダイヤモンド」にたとえる。売れないホストとして、お金を得るために他者をだますようなことをやってきた玲央が、荒んだ日々を自ら断ち切ろうとするのだ。
なぜ「2018年」に時代設定されたのか
この流れは、脚本の野木亜紀子、演出の塚原あゆ子、プロデューサーの新井順子がこれまで組んで作ってきたドラマ、例えば『MIU404』や映画『ラストマイル』などに通じるものがある。
野木たちはつねに現代の苛烈な労働環境にあえぐ若者たちに寄り添ってきた。『海に眠るダイヤモンド』もまた、社会に見捨てられそうになる労働者たちに光を当てている。
昭和の炭鉱労働者と、失われた30年を生きてきた平成の労働者たち、2つの時代の人々に。
これが令和ではなく、平成の終わり目前の2018年を舞台にしたことで、いっそう、切なさが募る。
「失われた10年」といわれていた時代が解消されることなく、積もり積もって30年になろうとする2018年。
70年ぶりの労働法制の大改正が行われた年でもある。「働き方改革関連法」、残業時間の上限に罰則付きの規制が導入され、これによって社会は大きく変わっていくのだ。
実は、2018年とは、長らく労働者を描いてきた日曜劇場にふさわしい時代設定なのである。
この記事に関連するニュース
-
日曜劇場「海に眠るダイヤモンド」12月22日OA最終話あらすじ 改竄された日記の意味、そして玲央(神木隆之介)といづみ(宮本信子)が知ることになる鉄平の思いとは…
iza(イザ!) / 2024年12月20日 12時0分
-
神木隆之介“鉄平”ד玲央”のシンクロに「鳥肌立った」「しびれた」の声…「海に眠るダイヤモンド」第8話
cinemacafe.net / 2024年12月16日 10時50分
-
「海に眠るダイヤモンド」鉄平の告白に反響「本当に自然」神木&杉咲の“名シーン”に称賛の声【ネタバレあり】
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月2日 18時0分
-
「海に眠るダイヤモンド」端島に幸せが続くなか…不穏なラストに反響「この幸せのまま…」【ネタバレあり】
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年12月1日 22時42分
-
「海に眠るダイヤモンド」いづみの正体が明らかに「やっぱり」「見事に外した」驚きの声【ネタバレあり】
シネマトゥデイ 映画情報 / 2024年11月24日 23時23分
ランキング
-
1ガサガサ肌が簡単に潤う!40・50代に使ってほしいボディケア商品3つ
つやプラ / 2024年12月22日 12時0分
-
2お金で何でも解決できそうな“超富裕層”に共通している3つの悩み。「絶対に負けられない戦い」も
日刊SPA! / 2024年12月22日 8時53分
-
3「海に眠るダイヤ」2018年を描く"最大の謎"の真相 現代編の設定が、なぜ「2024年」ではないのか
東洋経済オンライン / 2024年12月22日 14時0分
-
440歳から運動不足解消は何から始めたら良いの?
JIJICO / 2018年3月30日 7時30分
-
5たまに見かける!「クルマに垂れ下がった謎のゴム」冬の重要アイテムだった過去
乗りものニュース / 2024年12月22日 14時12分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください