「トランプ2.0」は吉か凶か、2025年の経済を読む FRBがトランプ氏の政策に翻弄されるのは必至
東洋経済オンライン / 2024年12月23日 7時30分
下図のようにコロナ禍以降、アメリカの労働生産性は明らかに上振れしている。だから高金利政策下でも経済は減速しなかったのだ。
生産性改善の理由
生産性改善の理由は3つ挙げられる。1つ目はリシャッフル効果だ。コロナ時に一時解雇された労働者は元の職場に戻らず、高い賃金を支払う生産性の高い企業に転職した。マクロ経済全体で見ると、高生産性分野へ労働が移動し、一国の生産性が改善したのだ。
2つ目は資本深化の効果だ。コロナ時の公衆衛生強化やコロナ後の人手不足への対応で産業界の自動化が進み、生産性が改善した。
3つ目として1990年代後半と同様、AI(人工知能)に代表されるIT革新の影響が一時的に表れている可能性もあるだろう。
トランプ2.0の初期条件で生産性の水準が上昇していれば、経済の下振れ、物価の上振れが抑えられ、スタグフレーションに陥るリスクは大きく低減するはずだ。
ただ、アメリカの利下げが見込めないことは、景気が脆弱で利下げを欲するほかの多くの国には悪いニュースだ。自国通貨の下落を懸念し、必要な利下げが十分に行えない。利下げの代わりに、拡張財政を追求する国も増えるだろう。
利上げ局面にある日本は例外で、むしろドル高円安インフレがもたらす家計への打撃を抑えるため、日本銀行は緩慢ながらも利上げを続けざるをえないのではないか。
過去30年、日本はアメリカの利下げ局面で輸出部門が超円高に苦しめられた。経済構造は変わり、アメリカの利上げや利下げ縮小局面で家計が超円安に苦しめられる社会に移行したことが明白になるだろう。
河野 龍太郎:BNPパリバ証券チーフエコノミスト
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