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「令和ロマンとバッテリィズ」M-1衣装の戦略的凄み ビジネスマンにも役立つ「見られ方」コントロール

東洋経済オンライン / 2024年12月24日 20時7分

同様にビジネスマンも、「何者であるか」を2秒で表現する手段としてパブリックイメージを活用できるのです。とくに業界をまたいだ転職をするとき、新たな会社でプロフェッショナルな雰囲気が身に付くのは、それなりの実務経験を積んだ後になるはず。ですがそのイメージを先取りすることができたら、結果的に「仕事のパフォーマンスも向上する」のではないでしょうか。

たとえば外資系の生命保険マンのパブリックイメージといえば、ネイビースーツをピシッと着こなしているというもの。業界にお勤めの方からうかがう限り、これは最近の実情とは異なるのですが、それでも世間一般の方が「言われてみると確かに」と思い描くイメージですよね。

つまり転職して日が浅い方も、パブリックイメージを活用することで、ベテランのような雰囲気を醸し出すことも不可能ではありません。いわゆる形から入る戦略ですが、M-1のように、競合が切磋琢磨しているビジネス環境においては、このちょっとした差が勝敗を分けることも有りうるのです。

そういう意味では、2組目に登場したヤーレンズの点数が伸び悩んだことも、パブリックイメージが関係していると私は感じています。

ヤーレンズの点数が伸び悩んだ衣装的要素

昨年、最終決戦で令和ロマンと4対3という接戦を繰り広げたヤーレンズ。今年は思った以上に点数が伸びませんでしたが、一視聴者目線として言えば「ヤーレンズのパフォーマンスは、点数以上に面白い」という体感だったのです。そして、このモヤモヤを拭ってくれたのは、審査員のコメントにありました。

とくに初代M-1チャンピオンの中川家、礼二さんの「やっぱり皆も言うてたように、なんか中盤くらいから爆発力がなかったかな、去年を知ってるだけに、やっぱりちょっと、違和感があった」というコメントが印象的でした。

というのもヤーレンズのボケ担当である楢原真樹さんと言えば、性別を感じさせない「特有の口調」と「短丈ジャケット」という強烈な個性をお持ちですし、その個性から繰り出される手数の多い掛け合いは、個人的には、ある種の狂気すら感じます。

まだヤーレンズがさほど知られていなかった昨年登場のタイミングでは、この強烈な個性がプラスに働いていたわけですが、楢原さんがもつ個性が周知されてしまった今年は、このパブリックイメージが「マイナス方向に働いてしまった」という理解です。

同じく審査員である海原ともこさんの「もっとしょうもないのが見たかったです」という発言からも、私はこんな風に思いました。もし「あの短丈ジャケットが、昨年以上に極端に短くなっていたら、同じ漫才であったとしても、受け手の印象として、だいぶ攻めているように感じた」のでは。

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