疑惑解明には程遠い「裏金」議員の政倫審弁明 旧安倍派幹部の弁明で「幕引き」は遠のく
東洋経済オンライン / 2024年12月25日 9時0分
少数与党での「宙づり国会」が12月24日、閉幕した。石破茂政権の最優先課題だった今年度補正予算は一部野党の協力も得て17日に、さらに「政治と金」を巡る政治資金規正法再改正も会期末の24日に相次いで成立し、野党の内閣不信任案提出もなく平穏な幕切れとなった。
これにより、石破首相は「超短命政権」の危機を脱し、2025年1月24日召集予定の次期通常国会での与野党攻防乗り切りに腐心することになる。
そうした中、参院選や東京都議選という2025年夏の「政治決戦」をにらんでの自民党の「最大の弱点」となりそうなのが、旧安倍派議員を中心とする巨額裏金事件の解明問題だ。同党は今臨時国会終盤になって、急きょ衆参両院の政治倫理審査会に多くの関係議員が出席、弁明したが、「結果的に疑惑が深まった」(立憲民主幹部)ことは否定しようがない。
野党側は通常国会ですでに有罪判決を受けた旧安倍派会計責任者の参考人招致や証人喚問を迫る構えで、「幕引きは遠のくばかり」(政治ジャーナリスト)というのが実態だ。
トップバッターは稲田朋美氏
そこで、これまでの衆参政倫審での関係議員の弁明を検証すると、「改めてさまざまな“疑惑”が表面化」(同)したことがわかる。
なかでも17日から19日まで3日間の日程で、旧安倍派、旧二階派の15人を対象に実施された衆院政倫審での裏金議員弁明では、ほとんどの関係議員が「知らぬ、存ぜぬ」と裏金事件への本格関与を否定する中、旧安倍派5人衆の1人だった萩生田光一元政調会長と、故安倍晋三元首相と極めて親密だったとされる稲田朋美元防衛相の「核心に触れる弁明」(閣僚経験者)が注目された。
弁明は五十音順で実施されたため稲田氏がトップバッターとなり、まず「還付制度については、安倍会長から令和4年5月にノルマ超過分の還付をやめると聞いたときに初めて知った」と説明。その上で、「安倍会長が還付制度をやめると決断されたのに、いつ誰がなぜ復活させたのかなどの事実を明らかにすることが、(当時の)自民党最大派閥の責任。そうしないと我が派は自浄能力のない集団になる」などと、いわゆる「五人衆」を中心とする旧安倍派の最高幹部の「真摯で誠実な対応」を求めた。
関与を全面否定した萩生田氏
これに対し萩生田氏は、「2003年の衆院初当選時に、(当時の)派閥事務総長から、パーティー券の販売ノルマ超過分を政治活動費として返すとの説明を受けた」として、当時の派閥会長だった森喜朗元首相の関与を示唆。さらに、翌2004年に「事務所担当者が、収支報告書に記載しない取り決めがあると説明を受けていた」との経緯を明らかにした。
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