中国の石油需要「2025年前後がピーク」の衝撃度 ペトロチャイナが予想、2060年には3分の1に
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 16時30分
中国の石油需要は2025年前後に年間約7億7000万トンでピークを打ち、減少に転じる――。中国石油集団経済技術研究院(ETRI)は12月11日、北京で開催した国際エネルギーフォーラムでそんな予想を示した。
【写真】国有送電大手の国家電網が運営するEV充電ステーション
ETRIは中国の国有エネルギー最大手、中国石油天然気集団(ペトロチャイナ)傘下のシンクタンクだ。その推計によれば、2024年の中国の石油需要は前年比微増の約7億5600万トンに達するものの、2025年以降は徐々に減少していき、2060年にはピークの3分の1の約2億4000万トンに縮小するという。
消費構造に大きな変化
それだけではない。石炭や天然ガスを加えた「化石燃料」全体でも、中国の需要は2028年前後にピークを迎える見通しだ。ただし(二酸化炭素の排出量が相対的に少ない)天然ガスの需要は今後もゆるやかに拡大し、2035年には年間6200億~6500億立方メートルに達して安定するとETRIは予想している。
中国の石油需要が減少に転じる背景には、消費構造の大きな変化がある。石油の2大用途は(自動車や飛行機などの)輸送機器の燃料と化学工業の原材料だが、近年は燃料向けの消費の伸びが鈍化している。2010年から現在までの消費量で比較すると、原材料向け石油製品の年平均増加率が8.3%だったのに対し、(ガソリン、軽油、航空燃料などの)精製油は同3.5%にとどまった。
ETRIの予想によれば、中国の石油消費量に占める輸送機器燃料の比率は、現在の50%から2040年には33%に低下。一方、化学工業原材料の比率は2040年に40%に上昇し、輸送機器燃料を逆転する。
「中国ではEV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、LNG(液化天然ガス)トラック、高速鉄道などが急速に普及している。その結果、輸送機器燃料の需要はすでに2023年にピークを越えた」(ETRI副院長の呉謀遠氏)
EV・PHVの普及が一因
ガソリンを例に取ると、中国のEVおよびPHVの保有台数が2024年に3000万台を突破したことで、年間2500万トン超に相当するガソリン需要が(充電需要に)置き換えられたという。
ETRIはEV・PHVの普及拡大が今後も続くと見ており、2035年の中国のガソリン需要が2023年比で35~50%縮小すると予想している。ただし、同じ輸送機器燃料でも航空燃料は例外で、航空運輸市場の拡大とともに需要が増え続ける見通しだ。
一方、原材料向け石油製品の需要は今後も増加が続く。ETRIの予想によれば、中国の2024年の原材料向け石油消費量は過去最高の1億6900万トンに達し、2035年には2023年比35%増の2億1000万トンに拡大する。
(財新記者:羅国平)
※原文の配信は12月11日
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