「人口減少社会」では民主主義は機能不全に陥る 中央は「問題先進地域」地方の革新を妨げるな!
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 8時0分
いまの日本の政策形成過程(意思決定のプロセス)は人口増加時代につくられたものでした。しかし、人口減少社会では問題解決の手法としての民主主義が機能不全に陥ります。
人口減少社会で起こっている先進事例
医療に関して言いますと、病院収入というのは「価格(P)×量(Q)」の積になるわけですが、人口減少の中で、Qが随分減っていく。そして、病院収入というのが減少していくことになります。
人口減少地域の医療機関はそういう状況に直面して、自らが持続するために医療機関の再編、連携をせざるをえなくなります。
中には地域医療連携推進法人をつくって(「地域医療連携推進法人って何?── 栗谷義樹先生と藤末洋先生との鼎談」<note>)、電子カルテの共有などは当たり前、病床数のダウンサイジングなんて当たり前、同時に医療DX(デジタルトランスフォーメーション)もどんどん進めていって、ブルシット・ジョブ(無駄で無意味な仕事)をどんどんなくしていって職場の魅力を高めていくといった形で働き方改革も当たり前というようなことをやる。
と同時に、医療と福祉の連携の下での病床管理をデジタルで一体的に行うのは当たり前だろうというように、勝手に自発的にやっています。
要は、日本の医療は経済学が言う生産可能性フロンティア(労働、資本、土地などの生産要素を効率的、有効に使用している状況)のかなり内側にいる。そして医療の効率化の余地は広範囲にある(ゆえに、コンサルタントの活動領域も広範囲にある)。
地方で患者が減少し始めて経営が難しくなってくると、イノベーターが表に出てきて、われわれが2013年の社会保障制度改革国民会議で描いていた地域医療構想と地域包括ケアの融合を、独自に、そこまでやるかというぐらい展開しているわけです(「日本の医療は高齢社会向きでないという事実」<東洋経済オンライン>)。
そして、地方の医師会の会長というのは、「わが県が必要なのは『家族丸ごと診る家庭医』です」とインタビューで答えたりしていて、中央の動きを待っていたら自分たちの県(の地域医療)は消えてなくなるという危機感を持っています( 「小泉ひろみ・秋田県医師会会長に聞く」<m3.com>)。
問題先進地域である人口減少地域のイノベーターたちが日々直面する問題を解決するために果敢に動いていく(イノベーター理論では、人を、innovators、early adapters、early majority、late majority、laggardsと5種類に分類している)。
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