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ソニーFGが買収、「新興保険企業」の不都合な事実 遠藤社長がブレーン役だったjustInCaseの統治不全

東洋経済オンライン / 2024年12月26日 7時40分

コーポレートガバナンスに詳しい青山学院大学名誉教授の八田進二氏は、「今回のように買い手と買われる側の両方に影響力を持つ人物がいるケースでは、どちらの利益を考えているのかわからない、という利益相反の可能性がある」と指摘する。

日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長で弁護士の牛島信氏も疑問を呈する。

「具体的な買収の経緯、検討プロセス、対価、当該買収により得られる利益等を考慮して、ソニーFGがジャスト社を買収すると決めた判断が合理的なものであったか、ソニーFGの取締役において善管注意義務違反がなかったかが問題となる」(牛島氏)

そのうえで、「個人的な利害関係に基づく意思決定がなされないように、社外取締役を中心としたほかの取締役は、取引の合理性を十分に検討すべき」とする。

トラブル解決金を会社が肩代わり

ソニーFGは、ジャスト社を子会社化することによって「少額短期保険ビジネス参入を短期間で実現し、ソニーFG全体の成長を加速できる」とまで持ち上げる。

ただジャスト社の業績は設立以来赤字が続いており、利益剰余金のマイナスを毎年積み増している。新興企業では赤字が続くことも珍しくないが、同社では売上高にあたる経常収益も伸びていない。肝心の保険契約数も減少している。

加えて看過できないのがコンプライアンスに関わる問題だ。

ジャスト社では、社長の個人的なトラブルに起因する解決金を、会社が株主から調達した資金で支払っていた。

記者が入手したジャスト社の内部資料によると、創業社長の畑加寿也氏(2024年12月17日付けで社長、同25日付けで取締役をそれぞれ退任)と、ジャスト社、ジャスト社の従業員の女性(以下、Aさん)はある契約を結んでいた。

その契約とは、畑氏に代わってジャスト社とジャスト社の兄弟会社であるjustInCaseTechnologiesが、Aさんに毎月一定額の金銭を支払うというものだ。

当初20万円としている月の支払い額はジャスト社と兄弟会社の資金調達額に応じて金額が変動する。10億円以上の調達ができれば月30万円、15億円以上だったら月40万円などと定められており、合計1200万円が支払われることになっている。

畑氏は、ジャスト社の共同創業者でもある配偶者との間に離婚訴訟を抱えていた。その配偶者から畑氏との不貞関係を指摘されたのがAさんだ。慰謝料も請求されており、体調を崩していた。

一連の問題解決のため、Aさんは畑氏に解決金を請求したが、畑氏が保有していた現金などは配偶者との訴訟で差し押さえられていた。そこで、ジャスト社などが「営業外費用」としてAさんに解決金を支払うことになった。

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