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国民・玉木氏をじわじわ追い詰める自民の戦略 対自民の「戦略」「党内ガバナンス」欠如に不安

東洋経済オンライン / 2024年12月26日 10時30分

ただ、この日程先送りについては、関係者が「そもそも、23日夜の段階で、自公国の幹事長や担当者間で、『年明け以降に先送りしたほうがいい』との声が強まり、それを受けて宮沢氏があえて“悪役”を引き受けた」(自民政調幹部)としたり顔で解説。

宮沢氏周辺も「協議開催には、まず、17日の協議でいきなり打ち切り宣言をした古川氏の謝罪を求めたのに応じなかった」(税調有力インナー)と裏舞台を明かした。ただ、「全ては水面下のやり取りで、関係者以外は真偽を確かめようがない」(同)ともいえる。

そこで、「衆院選後の最大の政治課題」ともなった「壁」引き上げを巡る自公国協議の経緯を子細に検証すると、「各党幹部や情報番組のコメンテーターらが気づかなかった自民の戦略が浮かび上がってくる。その最大のポイントは、11月上旬の特別国会閉幕に合わせた自民税調の新体制づくりだった」(自民長老)とみられている。

確かに、税調新体制が決まったのは11月6日。当然、会長の宮沢氏が森山裕幹事長らと協議して決めたものだが、宮沢氏はまず、それまで「税調インナーのドン」だったが衆院選で落選した税調顧問・甘利明元幹事長の後任に森山氏を指名し、同氏も即座に応じたとされる。

“極秘作戦”は「11・6税調インナー人事」が発端

「現職幹事長の税調顧問就任は過去に例がない」(税調事務局)とされる人事だが、森山・宮沢両氏は他のインナーの顔ぶれについても、新たに小渕優子党組織運動本部長、斎藤健前経済産業相、小林鷹之元経済安保相らを指名した。この顔ぶれについても関係者は「総裁選結果を踏まえて、党内の反石破勢力も取り込んだ巧妙な人事」(同)と指摘する。

確かに、小渕氏は旧茂木派幹部だが茂木氏とは距離があり、小林氏は高市早苗前経済安保相の“弟分”だ。さらに、総裁選で小林氏を担いだ福田達夫幹事長代行も再任したことで、「事実上の挙党態勢の陣容」(同)となったことは間違いない。

森山、宮沢両氏が秘かに画策した「壁」引き上げでの「対玉木戦略」は①まず、財務省にも根回しして低めの回答を提示し、国民民主の反応を見極める②財源不足を理由に最大限の譲歩案を示す③国民民主が納得せざるを得ない引き上げ額を提示する際は、国民民主に税源確保の責任をとらせるーーというのが骨格だったという。

確かに、その後の展開をみると、②が17日の決裂につながったのは間違いなく、最終決着の期限となる来年2月末に③を実行すれば、通常国会での石破政権崩壊は回避できる可能性が広がるとみられる。このため、事情を知る自民幹部からは「まさに『企画演出・森山、演技者・宮沢』という戦略通りに進んできたので、年明け以降への交渉延長も思惑通り」(自民執行部)との声も漏れてくる。

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