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いつの間にか「"LUUP"急拡大」の知られざる裏側 「まず創業者がしたことは…」入山章栄氏が解説

東洋経済オンライン / 2024年12月27日 11時30分

たとえばUberは、2015年時点で世界中で250人のロビイストを雇っていた。民泊サービスのAirB&Bは、800万ドルの予算を投じてロビイストを契約していた。

他方、日本の起業家のあいだでは、ロビイングの重要性が十分に理解されていない印象を私は持っている。

実際、日本では専業のロビイストの数が少なく、私の認識では全員で数十名程度である(少数なので、彼ら彼女らは互いに頻繁に情報交換をしているようだ)。

しかし、ロビイングは「社会的正当性」を得る手段として非常に有用であり、今後の日本のベンチャー産業の成長にますます重要になるだろう。

そんな中、巧みなロビイングを仕掛け、「レジティマシー」を勝ち得ながらビジネスを普及させてきたベンチャー企業が日本にもある。

電動キックボードのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」を展開するLuupだ。

「LUUP」が広まっていった裏側は?

最近では日本各地で見られるようになった電動キックボードだが、当時は安全性への不安から懐疑的な意見が強かった。

それに対して同社創業者の岡井大輝氏は、いきなりこのサービスを強引に展開することはしなかった。

まず、警察庁や国土交通省に丁寧に働きかけて、「マイクロモビリティ推進協議会」という団体を、2019年に他の複数社と設立することから始めたのである。

これは、「Luupが電動キックボード事業を行いたいのは、同社の私欲ではなく、日本全体の交通の利便性を高めるためのもので、この事業は社会的な正当性がある」ということを政府に理解してもらうための手段だったといえる。

協議会設立により大義を示したLuupは、その後も政府と地道な交渉や実証実験を続け、徐々に「レジティマシー」を獲得して、事業の成功にこぎつけていったのである。

入山 章栄:早稲田大学ビジネススクール教授

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