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禅が教える「居場所」と「孤独」のほどよいバランス 「つながるべき」か「つながらないべき」かの基準

東洋経済オンライン / 2024年12月27日 10時50分

友人の輪から外されまいと1日に何十通もLINEのやりとりをするのがしんどい、と感じたことはありませんか?

社会となんの関わりも持たない「孤立」はよくないものだとしても、一人の時間がまったくないのも、人は息が詰まるのです。

ふと一人きりになった時間を大切に

人は本来一人である。

しかし人は一人では生きていけない。

この矛盾を解決するには、積極的に孤独を「価値あるもの」だと捉えることが必要だと思います。

例えば、家族や同僚に恵まれている幸せをかみしめられる時間は、その家族や同僚が横にいる時間ではなく、ふと一人きりになった時間のなかにあります。

また、自分がこれから歩んでいく道を見定めるためにも、孤独が必要です。

人生の岐路に立ったとき、一人旅をする人がいるのはなぜか。

それは、情報の洪水から距離をとり、一人静かに心の声に耳を傾ける時間が必要だからでしょう。

すなわち孤独とは、社会的な肩書や役割を手放し、本来の自分に立ち戻れる時間でもある。そうであるならば、孤独は悪いどころか、最高に贅沢なものだとは言えないでしょうか。

お釈迦様も「犀(さい)の角(つの)のようにただ独り歩め」といいました。これはまるで、お釈迦様なりの「孤独のすすめ」のようでもあります。

一遍さんのように、すべてを捨てる必要はないと思います。

多事多忙で旅行にいくのもままならない人も多いでしょう。

しかし、例えば週末は自然の中を一人歩いてみるのもいい。美術館を一人訪れるのもいい。仲間と食べるランチも賑やかでいいですが、たまには一人で。

そうした一人の時間のなかで私たちは、本来の自分を取り戻し、心身を回復させていくのです。そのような時間が、寂しいものであるはずがありません。

枡野 俊明:「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

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