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ワッキー「後遺症で長生きしない」覚悟で抱く使命 中咽頭がん手術から4年、嚥下や発声に不自由が残る

東洋経済オンライン / 2024年12月27日 12時30分

以前よりパワーも減り、「ちょっとこれ、急がないとダメだなと思うようにもなった」と語るワッキーさん(筆者撮影)

アスリート顔負けの身体能力から繰り出すギャグと独創性あふれるキャラクターでお笑い界を駆け抜けてきた「ペナルティ」のワッキーさん(52)。2020年に中咽頭がんの手術を受け、今も後遺症が残る中、ライフワーク的に取り組んできた舞台「Mother ~特攻の母 鳥濱トメ物語~」(2025年3月19~23日、東京・新国立劇場小劇場)のプロデューサーに正式に就任しました。大病と向き合って見据えた自らの使命。そして「長生きしないな」という不安の中で定めた思いとは。

特攻がテーマの舞台に出合って

40歳を過ぎたあたりからですかね。やっと考えが大人になってきたのか(笑)、世の中のために何かできないか。そう思うようになってきたんです。

【写真を見る】「生きた証しを残したい」と語るワッキーさん(筆者撮影)

そんな中、一つの作品に出合いました。2009年から大林素子さんが主演されていた舞台「Mother~特攻の母 鳥濱トメ物語~」。鹿児島県南九州市知覧町郡で「富屋食堂」を営み、特攻隊員からお母さんと慕われていた鳥濱トメさんの半生を描いた作品なんですけど、見た時に衝撃を受けました。

作品自体にパワーがあるし、意味も意義も大義もある。作中に「あんたたちのことは絶対にあたしが忘れさせやしないからね……」というセリフがあるんですけど、本当にそれに尽きる。すべてがそこに込められている。そう痛感したんです。

すでにトメさんは亡くなっているし、誰かがこの思いを受け継いでいかないといけない。だったら、オレがやる。

その思いがこみ上げてきて「世の中のためになる」という気持ちとガッチリ結び付いたんです。役者として11年前から参加しつつ、公演のお手伝いもしてきたんですけど、来年3月の公演から正式にプロデューサーという肩書がつくことになりました。

簡単に使う言葉じゃないかもしれませんけど、この作品と出合って“使命”を意識するようになりました。人間いつ死ぬかわからない。だからこそ生きた証しを残す。生きてきた意味を作る。自分にとってはこの作品を世に出して定着させることが使命なんだ。それがストンと胃の腑に落ちたんです。

いつか死ぬことはわかっているし、時間に限りはある。ただ、すぐに死ぬとも思っていない。そんな感覚で暮らしていたところ、48歳でがんになりました。

特段、人生観が変わるということはなかったんですけど、病と闘って勝ったという気持ちと後遺症が残りました。

後遺症はしゃべり芸にマイナスでしかない

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