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被害額1億円超!日大重量挙部等の深刻な不祥事 年初から捜査か、「本当にこれだけか」の声も

東洋経済オンライン / 2024年12月27日 10時30分

当該の〈幹部A〉が重量挙部の監督と生物資源科学部の教授を兼務してきた難波謙二である。

難波はその経歴も田中英壽とよく似ている。1984年3月に田中と同じ経済学部を卒業した後、山形県の中学校教諭を経て、1988年4月から農獣医学部の体育助手として日大に勤め始めた。日大ではスポーツ実技の専任講師となり、国学院大の非常勤講師を経て2002年4月、日大生物資源科学部の助教授、さらに2011年4月には教授に昇進している。難波は助教授時代に重量挙部の監督に就任し、20年も監督をしている。日大の古参職員が説明する。

「田中元理事長はご自身が大学職員のキャリアが旧農獣医学部の体育助手からスタートしているため、難波監督にシンパシーを感じていたようです。難波監督はとてもかわいがられ、ミニ田中のように我が物顔で振舞ってきました。監督だけでなく、長いあいだ教授や助教授を兼務しているので、生物資源科学部のキャンパス内の清掃や警備の業者選定にまで口を挟んできました。それが利権化していた面もあると思います」

日大では2016年4月、三軒茶屋キャンパスに危機管理学部とスポーツ科学部が開設された。理事長だった田中はこのとき難波に対し、「スポーツ科学部の学部長にならないか」と誘ったほど目をかけていたという。

「ところが本人は頑として聞き入れませんでした。その理由は、学部長になると運動部の監督から部長に棚上げされるからです。難波さんとしては地位や名誉より、現場の監督として、学生たちから金を巻き上げるほうを優先したということでしょう」

日大の運動部では、監督の上位に立つ部長を部の責任者と位置付け、学部長がその地位に就く決まりになっている。一方、部長は部員たちに接する機会がないため、今回のような特待生の授業料をかすめ取るようなまねはできないという。

清算されていない「負の遺産」があらわに

今回の重量挙部の不祥事についてマスコミの一部には、「事件になる前に大学側が自ら発表した」と評価する声があがったが、社会の大方の受け止め方はそう優しくはない。とどのつまり田中体制時代の負の遺産が、いまだ日大で清算されていないことをあらわにしたにすぎない。

日大の調査によれば、7月12日を皮切りに、9月18日、10月10日とHP上で公開してきた重量挙部の被害は部員58人におよんでいる。さる12月19日の最終報告では次のように発表した。

<部員・保護者58名の現時点までの被害金額は、合計5326万6430円であることが確定し、本学では、この対象者全員に対して、返金日までの遅延損害金を付け、本年中に58名全員の返金が完了予定です(本日までに56名の返金と2名の返金手続が完了)。なお、平成26年度以前入学の元部員から問い合わせがあったものの、元部員からの証憑類の提出はなく、本学側で調査を尽くしましたが、現段階では、被害の存在を確認できないケースが7件ありました。今後、元部員側から証憑類の提出がありましたら、誠実に対応していく方針です>

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