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トランプ大統領就任で「円安が加速する」根拠 金融政策で円の価値を上げるのは無理筋

東洋経済オンライン / 2024年12月27日 7時30分

(写真:Kiyoshi Ota/Bloomberg)

大幅な円安と日銀の利上げ"足止め"は、ドナルド・トランプ次期大統領の政権復帰による日本への最初の目に見える影響である。トランプ氏が選挙期間中に公言したように関税と減税を大幅に実施すれば、日本経済へのショックはさらに大きくなるだろう。

アメリカのインフレは止まらない

円への影響は極めて単純だ。大幅な関税引き上げ、大幅な減税、財政赤字の拡大など、トランプ氏のさまざまな政策はインフレを引き起こしやすい。これに対抗するため、連邦準備制度理事会(FRB)は金利を高く維持しなければならない。そうすればドル高・円安になる。

FRBはこのインフレ率の上昇を予想して、12月18日に利下げを行ったが、2025年に利下げを行う可能性は2回と3カ月前の4回から減ると予測した。このためアメリカの10年国債利回りは急上昇。結果、日米金利差は大幅に拡大した。

FRBは現在、インフレ率を2%に引き下げるには9月の予測より時間を要し(2026年ではなく2027年になると予測)、インフレ率を引き下げるにはより高い金利が必要になると予測している。

そのため、2025年のインフレ率は9月時点の2.1%から2.5%になると予想している。また、フェデラル・ファンド・レート(FF金利)は、9月時点の3.4%ではなく、平均3.9%になると見ている。

そうでなければ、インフレ率はさらに高くなるだろう。3.9%は現在の4.25%よりは低いが、それでも以前の予想よりは高い。2026年の予想にも同様の変更がある。

日本にとって不運なことに、日本の金融情勢はアメリカの出来事によって風前の灯火となる可能性がある。FRBのスタンスによる円安は、日本の輸入インフレ率の上昇につながる。

これが、日本銀行が先日の利上げに失敗した主な理由だ。パウエルFRB議長が植田和男総裁よりも日銀の行動に影響力を持てるのは、このような場合だけだ。

日銀が描いていた「シナリオ」

円安は、日本が輸入するものに対してより多くの円を支払わなければならないことを意味する。そのため、食料品、エネルギー、衣料品、履物など輸入集約的な品目の価格が高騰する。

実際、2020年以降の日本の物価上昇の76%は、個人消費全体の37%しか占めていないにもかかわらず、この4品目によるものだ。結果、消費者の実質賃金は下がり、中小企業のエネルギーコストは上昇した。

日銀は、円安によるインフレ率の上昇やコロナ禍、ウクライナ戦争による世界的な商品価格の上昇が収まると考えていた。逆に、名目賃金の引き上げは、内需主導のインフレ率を2%まで上昇させる可能性がある。そしてその結果、全体のインフレ率は徐々に目標の2%へと向かうだろう。

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