「牛丼店にもイクラ」日本人が知らない資源の実態 すき家や松屋に登場、イクラ丼から考える水産資源
東洋経済オンライン / 2024年12月29日 9時20分
次のグラフは魚種ごとに分けたものです。全体の漁獲量で大きく凸凹ができる理由は、カラフトマス(pink salmon)の資源量の一時的な増減によります。カラフトマスは、主に4歳で産卵するシロザケと異なり、2歳で産卵します。世代が2年ごとに分かれており、資源量が多い世代が回遊すると漁獲量が増えます。
毎年のように今年はサケが不漁とか前年より何割増えた、もしくは減ったという報道があります。年によってはサケの水揚げ量が前年比で何割増などというニュースが出ます。しかし、サケに限らず、すっかり水揚げ量が低迷していることを伝えず、前年比だけを強調すると、水産資源が大幅に回復したのでは?と誤解させられる場合があります。
他国と比較して数十年単位で傾向を見ていくと、おかしな実態が浮き彫りになってきます。もちろん、減少理由はサンマやスルメイカなども含めて、海水温上昇などの理由がすぐ出てきます。それを否定するわけではないのですが、もっと根本的な「資源管理の手法が異なる」点に注目すべきなのです。
残念ながら、日本のサケ資源は適切な資源管理が行われているとは言えず、壊滅に向かっています。北海道もひどい状態ですが、本州(東北)地方はさらに壊滅的です。
「獲れない……獲れない……」と嘆きながら、その貴重な一尾まで、遡上させずに獲ってしまう。これでは資源が回復するはずはありません。しかしながら、これはその1尾まで獲ってしまう漁業者が悪いのではありません。
問題はサケの資源管理制度にあります。アメリカやロシアといった凸凹を繰り返しながらも潤沢な漁獲量が継続しているのは、すでにデータで示しました。それでは資源管理の何が違うのでしょうか?
自然産卵を重視するアラスカ
その原因を調べていくと、大きな違いが出てきます。それは、採卵よりも自然産卵を重視する資源管理制度の違いです。アラスカの場合は上のグラフのように7割弱が自然産卵で、自然産卵を重視しています。この方式はエスケープマネジメントと呼ばれています。サケが遡上する適切な通路を確保し、資源の持続性に必要な親魚を十分に遡上させてから、採卵を行うという考え方です。
一方日本の場合は、できるだけ採卵しようとします。このため自然産卵との比率は逆転しているものと考えられます。また自然産卵の稚魚のほうが、採卵後に放流した稚魚より強いとしたら、日本の場合は、弱い稚魚を無理に放流し、肝心の強い稚魚の数が減るという悪循環になっているのではないでしょうか?
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