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和田秀樹「60歳からこそ上機嫌が何よりも重要」 欠乏感や不足感を抱いているとき気持ちはすさむ

東洋経済オンライン / 2024年12月30日 7時0分

(写真:Kazpon/PIXTA)

高齢者専門の精神科医である和田秀樹さんの著書『脳と心が一瞬で整うシンプル習慣 60歳から頭はどんどんよくなる!』。本書の中で和田さんは、人はいくつになっても脳の働きを活性化させ、賢くなり続けられるのだと語っています。一部抜粋・再構成してお届けします。

小さな成功を喜べる人は、さらに前進できる人

シニア世代の方々こそ、明るく、上機嫌に生きることが何よりも重要だと感じています。明るく、前向きな気持ちで生きることで、人生の可能性が広がるとともに、脳や心、体の老化が防止されます。

人は満たされていないと、上機嫌になることはできません。欠乏感や不足感を抱いているとき、人の気持ちはすさんでいきます。

自分をご機嫌にするための一つの術として、日常のなかで、どんどん自分のことを褒めてあげるようにしてください。たとえ思った通りにいかなくても、望んだ結果が出なくても、自分を思いっきり励まし、元気づけるのです。

自分で自分を褒めることで人は上機嫌になれます。まるで魔法にかかったように、心がきらめき出すのです。

何かというと不機嫌になりやすい人は、たとえば「今日は押し入れと棚の整理をしようと思ったのに、押し入れの半分も終わらなかった」といった具合に、自分を責めてくよくよします。反面、いつも上機嫌な人は、「目標には届かなかったけれど、押し入れをここまできれいにできた! 私ってすごい!」と自画自賛するのです。

とにかく、どんな小さなことでも、めいっぱい自分を褒めて労い、励ますことです。アドラー心理学でも「小さな成功を喜べる人は、そこから勇気づけを得てさらなる前進をしようとする人」と言われています。

自分を褒められる人は、ずっと成長し続けられる

第三者から見たらどれほど些細なことだったとしても、自分の素敵なところや頑張ったところを見つけて褒められる人は、ずっと成長し続けられる人なのです。

自分を褒めたり、鼓舞したりするということはまた、自分にポジティブな暗示をかけるということにもなります。

アメリカの心理学者であるバートラム・フォアが行った心理実験に、それがよく表れています。

彼は学生たちに対して行った心理検査に基づいて性格を分析し、一人ひとりに「あなたはこんな人」というレポートを渡しました。その結果、およそ8割の学生が、「自分の性格をよく分析している」と感じたそうです。

しかし、実はこのレポートは、既存の文章をつなぎ合わせてつくったデタラメなもので、しかも全員に同じ内容を渡していました。それにもかかわらず、大多数の学生が、自分によく当てはまっているという感想を持ったのです。

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