ヨーカドー「33店舗閉店」で露見した"残酷な真実"【再配信】 人も街も変化したのに、なにも変われなかった
東洋経済オンライン / 2024年12月30日 8時0分
その横には、閉店までの店の陳列について説明するポスター展示があり、一歩踏み入れただけで、完全に「お別れモード」に包まれる。
店内にも、至るところに「閉店売りつくし」と張り紙がしてある。いろんなものが安売りしていて、大量に積まれた商品が放り込まれたラックの周りには、ちらほら人がいる。
でも、ちらほら、だ。たくさんいるわけじゃない。そこがまた、一層悲しさを際立たせる。
もっとも「お別れモード」が強いのが、最上階。本来はレストランフロアなのだが、ほとんどのテナントが撤退していて、白い壁が広がっている。そのあまりの殺風景さを埋めるためか、「津田沼店の想い出」コーナーが展開されている。ヨーカドーの昔の写真の展示から、当時の資料、津田沼の歴史年表まで、ちょっとした博物館のようである。
入り口にもあった「津田沼店の想い出コーナー」はここにも広がっていて、無数のポストイットが貼られていた。これだけ愛されてるんだったら、なんで撤退なんて……。つい、そう思ってしまう。
「津田沼戦争」に参入したヨーカドー
津田沼店が撤退せざるを得ないのっぴきならない理由はなにか。
もちろん、それはイトーヨーカドー全体の業績が悪いことはいうまでもないが、津田沼という街ならではの理由もある。
もともと、津田沼店は1977年に誕生した。今年で46年目を迎える。
当時、津田沼には「西武津田沼ショッピングセンター」「丸井」「サンぺデック(ダイエー津田沼店)」「長崎屋」等の大型商業施設が多数立地していた。商業的な激戦が繰り広げられるさまは「津田沼戦争」とも呼ばれ、当時は勢いのあったヨーカドーがその戦争に参入した形となる。
「戦争」ともなれば、本気を出さざるを得ない。売り場面積は当時としては最大。地下には「津田沼ファミリーワールド」という、さまざまな食料品を取り扱うモールのようなものもあり、食べ物であればなんでも揃った。こうした戦略が功を奏し、津田沼店はヨーカドー店舗の中でも売り上げ上位の店舗になる。
【2024年9月5日10時35分追記】初出時、記載の内容に誤りがありました。お詫びして修正致します。
前述したポストでは、「津田沼はかつて『行く』街だった」と述べられているが、まさにちょっと特別な場所としてヨーカドー津田沼店はあったのだ。
商業エリアの中心が動いた
しかし、ここに強敵が現れる。津田沼店誕生の4年後に誕生した「ららぽーとTOKYO-BAY」である。津田沼店からはわずか4キロほどで、車で行けば10分かからない距離。津田沼の隣、船橋の臨海エリアに誕生した。ちなみに、元はと言えば、懐かしい人には懐かしい「船橋ヘルスセンター」がある場所だ。
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