日本のエリート層に「武士の姓」が多いという衝撃 身分を固定化する「社会的流動性」の低さとは
東洋経済オンライン / 2024年12月31日 10時0分
私たちが生きている、かつてないほど豊かなこの現代社会を可能にしたのは、経済の力だ。そして、文明の歴史は経済発展の歴史でもある。では、その経済を、経済学者たちはどのように考えてきたのか。現代の経済学者は何に取り組んでいるのだろうか。
農耕革命から人工知能まで、経済や経済学の発展の歴史をわかりやすく解説する、2024年12月に刊行された『読みだしたら止まらない 超凝縮 人類と経済学全史』より、一部抜粋、編集のうえ、お届けする。
「社会的流動性」をはしごに喩えると
古代中国の封建制度やインドの伝統的なカースト制度、あるいはヨーロッパ中世の封建制度のもとでは、人々の社会的な地位は生まれながらに決まっていた。
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親の社会的身分が子に受け継がれたので、社会的流動性は限られたものだった。
現代の資本主義社会に暮らすわたしたちの大半は、そのような固定化された階級社会におぞましさを覚える。
今の社会では、政治信条に関係なく、社会的流動性、つまり誰でも「出世」できる状態が尊ばれている。
とはいっても現実には、親と子のあいだに社会的地位の相関がどれぐらいあるかは、国によってかなり違う。流動性が世界で最も高いのは北欧諸国であり、逆に最も低いのは南米の国々だ。
その原因は、経済的な不平等(貧富の格差)と流動性とが密接に結びついていることによる。
これははしごの喩(たとえ)で考えるとわかりやすい。はしごの段と段の差が経済的な不平等を、はしごの上り下りのしやすさが社会的流動性を表す。段と段の差が大きければ、はしごの上り下りはしにくくなる。
このような貧富の格差と流動性の相関関係を経済学では「グレート・ギャツビー曲線」と呼ぶ。南米では、北欧より経済的な不平等が大きいので、そのぶん流動性も低い。
ここまでは、1世代間(つまり親と子)の社会的流動性の話だったが、別の手法を使えば、多世代間の流動性を見わたして、支配層が固定化していないかどうかも調べられる。
社会的流動性の長期的な傾向を明らかにするため、経済学者グレゴリー・クラークはめずらしい姓に着目して、社会的な身分が固定化していないかどうかを調べている。
ピープスという姓を例に取ろう。17世紀に英海軍の書記官を務め、詳細な日記を残したことで知られるサミュエル・ピープス(1633~1703年)の姓だ。
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