「お金を貯め込みすぎた高齢者」の超せつない末路 高齢者「そんなに貯めてどうする?」が多すぎだ
東洋経済オンライン / 2024年12月31日 8時0分
老後が不安なのはわかります。
でも現実を見れば、老後は現役世代のようにお金がかかるわけではありません。
70代、80代になれば、それほどたくさん食べられません。
旅行や遊びに行こうにも、気力も、体力もなくなります。
物欲も薄れ、欲しいものもなくなります。
若いときはゴルフや旅行などのぜいたくを好んでも、年をとれば「いまは庭いじりをするのが何より幸せ」「出かけるのは朝の散歩と日常の買い物だけ」といった人が増えてきます。
80歳の人に100万円を渡して「好きに使え」と言っても、使いどころがなくて困ってしまうのが現状なのです。
そう、高齢になればなるほど、お金は不要になるのです。
もちろん、現役時代よりも医療費や介護費などは必要になるかもしれません。
しかし国民皆保険制度のある日本において、自己負担額が何千万円にも上るといった可能性はほぼないと言ってよいでしょう。
ですから、まだまだ元気な50代、60代のうちに、「計画的にお金を使って楽しむ」ことをしてほしいと思うのです。
もちろん、お子さんやお孫さんに財産を残したいという気持ちもわかります。
でも、自分で築いた財産は、自分の楽しみに使ったほうがいいというのは、たくさんの高齢者を見てきた私の思いでもあります。
それに、親のお金をあてにしない人生のほうが、結果的にはお子さんやお孫さんのためになるのではないでしょうか。
「いまさら『お金の使い道』も『欲しいもの』もない」
ここで、2つのケースを紹介します。
独身でコツコツ働いてきたKさんのケース
独身で長年働き続け、慎ましい生活を送りながら老後のためにコツコツと数千万円の資産を築いたKさん。
いざ老境に入ると、「いまさら『お金の使い道』もないし、『欲しいもの』もない」とおっしゃいます。
遺言書も作成済で、すべて団体等に遺贈するとのこと。
Kさんは現在施設に入居されていますが、「もっと設備の整ったいい施設がありますよ」とすすめても「近くの、普通のところでいい」というのです。
なんのためにまじめに働き、お金を貯めてきたのかと思うと、せつなくなります。
一度に億単位のお金を手にしたNさんのケース
もうひとりは、長年社長を務めてきたNさんです。
Nさんは在職中に会社をどんどん大きくし、引退時に保有していた自社株をお金に換えたため、いきなり数億円を手に入れることになりました。
実際には、資産管理会社を設立するなどのアドバイスをしていますが、「この年でいきなりこんなにお金をもらっても、どうしたらいいかわからない。もっと早くお金が欲しかった」というのが正直なところだそうです。
アリは本当に幸せだったのか
お金を上手に使って人生を楽しむにも、知識や経験が必要です。
旅行に行ったことがない人に「旅行でもしてみたらどうですか?」とすすめても、どうやって手配をすればいいのかわからないのです。
若いうちからある程度、自分の好きなこと、やりたいことにお金を使う訓練をしておくのは、老後生活を楽しむコツといえるかもしれません。
「アリとキリギリス」というイソップ寓話があります。
備えることに夢中で遊ぶことを忘れたアリよりも、人生を楽しんだキリギリスのほうがじつは幸せなのではないか──そう感じることも多いのです。
若いときに爪に火を灯すような生活を送り、年をとって気力も体力も衰えてからお金持ちになっても意味はない、と私は思います。
必要なお金を貯めることも大切ですが、しっかり使って人生を楽しむことも忘れないでください。
松尾 拓也:行政書士、ファイナンシャル・プランナー、相続と供養に精通する終活の専門家
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
【墓・相続⋯】正月「家族会議で話したい」3つの事 「モメないため」皆が集まる場こそ「大事な話」を
東洋経済オンライン / 2025年1月1日 10時0分
-
【地方実家は負の遺産?】「実家じまい」過酷現実 持っているだけでお金がかかり、リスクもある
東洋経済オンライン / 2024年12月29日 8時30分
-
【人生の3つの貯め時】実際に貯められた人はいる?将来のお金の不安を調査!
PR TIMES / 2024年12月25日 11時15分
-
【スマホの中身は⋯】「デジタル遺品」3大解決法 「家族が大迷惑することも⋯」どうすればいい?
東洋経済オンライン / 2024年12月19日 12時30分
-
急増の「小さな葬儀」"意外なトラブル"に要注意だ 人気の「家族葬」メリット・デメリットは?
東洋経済オンライン / 2024年12月18日 11時0分
ランキング
-
1退職者による「企業秘密」漏えいを防ぐ4つの方策 「秘密保持契約」を形骸化させてはいけない
東洋経済オンライン / 2025年1月6日 8時30分
-
2動けない部下や子どもが自走するための接し方 知らぬ間にチャレンジ精神を奪ってしまっている
東洋経済オンライン / 2025年1月6日 10時0分
-
3大発会の日経平均株価、587円安…JPXの山道CEO「一皮むけて成長したマーケットに」
読売新聞 / 2025年1月6日 15時43分
-
4「出会いで運を味方にする」ために始めたい"習慣" 潜在意識に働きかけて行動力を上げるメソッド
東洋経済オンライン / 2025年1月6日 14時0分
-
5日本人の年収が増えないのは「薄利多売」のせい…時給30万円の経営アドバイザーによる「厚利少売」のススメ
プレジデントオンライン / 2025年1月6日 8時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください