「男性指導者ばかり」女子スポーツが持つ深刻課題 パワハラやセクハラの被害もある未整備な環境
東洋経済オンライン / 2025年1月1日 12時0分
また、日本では中学生を境にスポーツをする人、しない人に二極化してしまう現実があることも指摘された。特に女子は、このタイミングではっきりと分かれてしまう。
さらに、男子野球はオリンピックやWBCや、WBSCプレミア12での日本選手の活躍が大々的に報じられているが、同じ「侍ジャパン」のユニフォームを着ている女子野球のワールドカップで7連覇の扱いは極めて小さい。これは筆者も実感するところだ。
大阪府堺市の桃山学院教育大学は、この「プレー・アカデミー with 大坂なおみ」の支援を受けて、地域の女子スポーツの振興に取り組んできた。
「本学の前身のプール学院大学は大阪で一番古い女子の高等教育機関の1つです。スポーツ教育にも理解が深くプレー・アカデミーの女子スポーツを盛り上げたいという理念に共鳴し、大学として地域に密着した女子スポーツ振興の取り組みを開始しました」
桃山学院教育大学、人間教育学部学部長の中村浩也教授は語る。中村教授は、堺市の「部活動」総括コーディネーターでもある。
女性アスリートの健康管理の研修も
この取り組みを担当する同学部の村井愛実講師は語る。
「私たちは部活動指導者養成プログラムで、『部活動論』という部活動に特化した科目やコーチング論を学んだ学生を部活指導の現場に派遣することを考えていました。そのタイミングで、ローレウス財団を通じてプレー・アカデミーの話があり、元のプログラムに加えて、生理など、女性アスリートの健康管理やコンディショニングの問題に特化した研修、さらに子どもの権利を保障するためのセーフガーディング研修なども盛り込みました。これらを学んだ学生を、昨年度から部活の現場に実地研修で派遣しています」
この稿でも何度か出てきたが、日本では「部活の地域移行」が進んでいる。これに伴い部活指導の在り方が大きく変わろうとしている。このタイミングで女子スポーツの在り方を見直すプレー・アカデミーの取り組みは、時宜にかなっていると言える。
この部活動指導者養成プログラムを受講し、実際に中学に派遣された桃山学院教育大健康・スポーツ教育課程4年次の世古汐音さんはこう語る。
「私の経験で言うと顧問の先生が男性であることが多かったので、体調面などを相談しづらかったことがありました。また、私自身も嫌な思いをしたこともあったので、今回、現場で子どもたちに接するにあたっては、子どもたちの権利をしっかり守って安心・安全な場でスポーツを楽しんでもらおうと思いました。
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