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ビットコインの命運握る「アメリカの戦略備蓄案」 1月20日のトランプ大統領就任で構想が動き出す?

東洋経済オンライン / 2025年1月3日 7時50分

トランプ氏率いる共和党は、議員の約7割が暗号資産による献金を受けているとの報道もある。トランプ氏にとって暗号資産推進は政治的にも戦略的にも理にかなった選択であるといえる。

100万BTCはETFの保有量に迫る規模

アメリカ政府は現在、犯罪者などから押収した約21万BTCを保有している。約19万BTCを持つ中国を上回り「ビットコインを世界でいちばん多く保有する政府」だ。

一方、2024年12月時点でアメリカのビットコイン現物ETFは合計で110万BTC以上を保有するまでになった。このうち最大のビットコイン現物ETFはアメリカの運用会社ブラックロックの販売する「iShares Bitcoin Trust ETF」だ。

仮にアメリカ政府が100万BTCまで備蓄することになれば、ビットコイン価格を押し上げたETFの保有量に迫る規模となる。

アメリカ政府が戦略的備蓄として保有している資産の代表的な例は金(ゴールド)だ。金のように戦略備蓄の対象になれば“デジタルゴールド”と呼ばれるビットコインが同列に並ぶことを意味する。

ビットコインは現在、国際間の戦争・紛争といった国家の枠組みを超えた有事の際に、価格が上昇する傾向がある。一方で、コロナショックや世界同時株安など経済的な有事には、ボラティリティーが高いリスク資産とみなされ、真っ先に売却される傾向があった。

市場に流通するビットコインの量は年々減少している。そのような中でアメリカ政府がビットコインを大量保有することになれば、ビットコインの需給は需要超過となる。端的に言うと市場から売り手がいなくなる。

そうなると価格が上昇する可能性が非常に高い。価格のボラティリティーも低くなり、本物の金に近い存在になると考えられる。

一方で、法案が制定されなかった場合の情勢も考える必要がある。

過去の例をみると、ビットコインの新規供給量が減る「半減期」が春先にあった2017年と2021年は、共に年末頃に当時の高値をつけた後、翌年はアメリカの金融引き締めによる金利上昇によって急落している。

裏返すと、近年ビットコインが急騰しているのは、アメリカなど先進国の中央銀行が金融緩和を行っている時期だ。

FRBが昨年12月に発表した政策見通しによると、インフレ懸念から利下げの回数を減らすことが見込まれている。インフレ退治の金融引き締めから緩和方向に転じているものの、緩和ペースは遅くなるというわけだ。

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