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写楽や歌麿を世に送り出した蔦重のスゴい仕事術 NHK大河「べらぼう」主人公に学ぶ仕事のコツ

東洋経済オンライン / 2025年1月5日 16時0分

派手さにはやや欠けるかもしれませんが、一定の需要があり、かつあまりトレンドに左右されないことから、長きにわたって売っていくことができ、堅実に収益を生み出していけます。

2種類のビジネスのバランスのとり方に秀でていた蔦屋

こうしたチャレンジングな事業と、手堅い事業。蔦重はこの2種類のビジネスのバランスのとり方に、非常に秀でていました。

彼自身が心から喜びを感じていたのは、前者の「大胆な仕事」の数々でしょう。けれど、ビジネスの世界はそんなに甘くはないのだということは常に胸に刻まれていました。

利益を追求することが、商売人の使命です。「利益は出なくても楽しいから」という姿勢では、単なる自己満足の遊びになってしまいます。だからこそ、この両軸の調整を図りながら、商売をしっかりと成り立たせていたのです。

会社員や組織人の方にも、もちろんこの法則は当てはまります。社内で思いきった挑戦をしたいと思うときこそ、手堅い仕事も大切にしましょう。着実に仕事をこなし、着実に利益を生む。その確実性が信頼を生みます。

その信頼はあなたを守る盾になると同時に、やがて大きな挑戦への道筋をつくってくれるはずです。

仕事というのは、根回しが十割

「回す」という言葉が、蔦重ほどぴったりな人もいないのではないでしょうか。

仕事を回す、気を回す、根回しをする……「回す」とはどこか、多方面に気を配りながら、ことを進めていくような印象を与える言葉です。

蔦重は各所に関心を向けて人脈を広げ、「自分はこんなことを実現したいんだ」という想いやアイディアを発信することを、いとわず行っていました。

その地道な根回しが、彼の功績を支えた大きな柱であったことは間違いありません。

たとえば、あなたが会社に勤めていて、「いつかこういうプロジェクトに参加したい」と考えているとします。そうしたら、その気持ちを日頃から周囲の人の耳に入れるようにするのです。そのようにして周りを巻き込み、味方を増やしながら準備を進めていきましょう。

そうすればやがて機会が訪れたとき、あなたに白羽の矢が立つ可能性は、ぐんと高まります。

とにかく、何かに挑戦したいと思ったのなら、その事前準備を怠ってはならないのです。根回しをせずにことに当たるというのは、いうなれば普段着で登山するのと同じこと。無防備な状態で険しい山道に臨んだらどうなるかは、火を見るよりも明らかでしょう。

狂歌連(狂歌が趣味の武士たちのサークル)や吉原連といった集いにこまめに参加するなど、日頃からさまざまなところに顔を出すことは、蔦重にとっては重要な任務の1つでした。

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