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アリババ、傘下の百貨店を「損切り」売却の事情 約2000億円の損失計上、非中核事業の分離急ぐ

東洋経済オンライン / 2025年1月6日 11時0分

アリババはオンラインとオフラインを融合させる「ニューリテール」を推進したが、明確な成果を出せなかった。写真は売却を決めた銀泰百貨の店舗(銀泰百貨のウェブサイトより)

中国のEC(電子商取引)最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)は12月17日、大手百貨店「銀泰百貨」を運営する子会社の銀泰商業集団を74億元(約1562億円)で売却すると発表した。

【写真】アリババの創業メンバーで董事長を務める蔡崇信(ジョー・ツァイ)氏

アリババの開示資料によれば、同社は銀泰商業集団の発行済み株式の約99%を保有しており、残り約1%を持つ少数株主とともに全株式を譲渡する。それにともない、アリババは約93億元(約1963億円)もの損失を計上する見通しだ。

ECとクラウドに集中

銀泰商業集団を買収するのは、老舗アパレル企業の雅戈爾集団(ヤンガー)と銀泰商業集団の現経営陣だ。財新記者の取材によれば、買収後の出資比率はヤンガーが60%、経営陣が40%になる予定だという。

「現経営陣との共同投資の目的は、わが社のファッション・ビジネスのサプライチェーンを補完し、強化することにある」

ヤンガーは財新記者の取材に対してそうコメントし、生産から小売りまでの垂直統合を通じたビジネスの高付加価値化に意欲を示した。

一方、アリババが銀泰商業集団の売却を決めたのは、同社が進める非中核事業の切り離しの一環だ。アリババは2023年3月、主要事業の6分割を柱とする大規模な構造改革に着手し、「EC」と「AI(人工知能)・クラウド」の2分野に経営資源を集中する方針を打ち出した。

アリババは非中核分野の既存事業を精査し、戦略見直しによる早期黒字化や売却による現金化を図っている。

そんな中、実店舗による小売り事業は(赤字続きで)アリババ全体の業績を圧迫しており、撤退を急ぐべき部門に分類された。

2024年9月期の半期報告書によれば、アリババが同年3月から9月までの半年間に複数の事業売却を通じて獲得したキャッシュフローは65億900万元(約1374億円)に上った。

撤退は「合理的な選択」

とはいえ、小売り事業からの撤退は必ずしも思い通りに進んでいない。アリババの創業メンバーの1人で董事長(会長に相当)を務める蔡崇信(ジョー・ツァイ)氏は、1年前の2023年10~12月期の決算説明会で次のように述べた。

「アリババにとって(撤退は)合理的な選択だが、目下の(個人消費が低迷している)市場環境での事業売却は容易ではなく、時間がかかる」

同じく2023年10~12月期の決算説明会で、アリババCFO(最高財務責任者)の徐宏氏は、「実店舗の小売り事業を除外して試算すると、当四半期のグループの調整後EBITA(利払い・税引き・一部償却前利益)率は約4ポイント改善する」と明かしていた。

それだけに、アリババにとって銀泰商業集団の売却成立は、多額の損失を差し引いても前向きの成果だと言えそうだ。

(財新記者: 包雲紅)
※原文の配信は2024年12月16日

財新 Biz&Tech

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