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9日間の世界一周挑戦で「地獄を見た」50代弾丸旅 目指すは100万マイル ベッドで寝たのは7時間

東洋経済オンライン / 2025年1月7日 9時0分

ロサンゼルス発メキシコシティ行きのアエロメヒコから見た、メキシコシティの夜景。この頃は余力があった……(写真:筆者撮影)

スカンジナビア航空の100万マイルキャンペーンにチャレンジするため、世界一周の旅に"弾丸"で出かけたトラベルジャーナリスト、橋賀秀紀さんのレポートを前後編2回にわたってご紹介します。本記事は前編です。後編はこちら

「飛行機で世界一周旅行」

【写真】前編ではアメリカからヨーロッパへ、橋賀さんの世界一周弾丸旅の様子

こう聞くと、人は優雅な旅を想起するだろう。だが、筆者が経験したのは9日間でエコノミークラス25フライト、ホテルのベッドで寝られたのは計7時間という過酷な世界一周だった。

筆者はこれまでそれなりに過酷な旅行をしてきた。大学生のときはアメリカ大陸横断でグレイハウンドバスに5連泊し、サハラ砂漠はトラックの荷台で縦断した。

だが、こうした旅行は「若い」からできたと感じていた。50代にさしかかったいま、ここまでハードな旅を再び実践する日が来るとは思っていなかった。

きっかけは以前の記事にも書いたように、スカンジナビア航空の100万マイルキャンペーンだった。スカンジナビア航空と提携航空会社計15社に乗ると100万ポイント(ほぼ100万マイルに相当)をボーナスとして進呈しますよ、という内容だ。

サラリーマンである筆者が挑戦する時間的な余裕はないと半ばあきらめていたところ、長年の旅行友達である60代前半の男性A氏からメッセージが来た。「9日間で15社、回れるプランたてたのだけど、いっしょに行かない?」と。

そして2024年12月、A氏と2人、成田からロサンゼルス行きのZIPAIRに乗り込んだ。 そのときは、ただ飛行機に乗ればいいのだろうと高をくくっていた。

【写真】100万マイルGetを目指した世界一周旅前編の様子を写真で(7枚)

搭乗予定の便が案内掲示板に表示されない

ロサンゼルスから、アエロメヒコでメキシコシティに到着。

ケチのつきはじめは、メキシコシティの空港だった。アエロメヒコのカンクン行きに搭乗しようとゲートに行くも、 自分が乗るはずの便の情報が空港内の案内掲示板にも搭乗ゲートにも表示されなかったのだ。

首都の国際空港だが、アナウンスはスペイン語オンリー。ゲートにいる地上職に、カンクンへ飛ぶ便か、2回確認する。空港の案内掲示板が信用できないなら、何を頼りにすればよいのだろう。

カンクンのホテルに到着したのは午前2時。寝られたのはわずか2時間。翌朝6時20分にホテル発のバスで空港に向かう。何のためにビーチリゾートのカンクンに来たのだろうか。

乗る便が欠航、搭乗口で旅程大幅組み替え

カンクンからはデルタ航空でアトランタ、続けてボストンへ飛んだ。その次はヴァージン アトランティック航空でロンドンへ渡り、さらにパリへ移動する予定だった。

ロンドン在住のトラベルライター兼ジャーナリスト、さかいもとみさんから「ヒースロー空港は嵐で欠航続出」というメッセージが届いた。だが、今回のキャンペーンでヴァージン アトランティック航空に乗る必要がある以上、ロンドン経由はどうしても外せない。

結局、エールフランス航空・ロンドン発パリ行きがキャンセルとなり、ヨーロッパ内のルートを大幅に組み替える必要が出てきた。ボストンでは乗り継ぎに4時間の余裕があり、市内観光をしようと決めていたが、当然それどころではない。ひたすらラウンジでスマホと格闘する羽目となった。

ロンドンからドーバー海峡を渡る選択肢は限られていた。最初はユーロスター(英仏海峡トンネルを通ってイギリスと大陸ヨーロッパとを結ぶ国際列車)でパリに移動すれば楽勝と考えていたが、直前ということもあり、片道4万4000円もかかる。

やむなく、ロンドン・スタンステッド空港から、ライアンエアーでプラハ(チェコ)に飛んだ。

同行のA氏は珍しく体調の悪化を訴え、搭乗直前まで空港のベンチで横になっていた。私たちは、命に関わるケースでないかぎり、どちらかの体調が悪化したら現地に置き去りにして、元気な方は旅を続行する、という約束を交わしている。

幸い、A氏は回復したので、プラハに置き去りにせずに済んだ。

前代未聞のミスで窮地に追い込まれる

プラハからルーマニアの航空会社タロムに乗り継ぎ、ルーマニアのブカレスト空港から民泊に徒歩で到着したのは午前2時17分。翌朝4時48分に宿を出た。睡眠時間はまたも2時間。

民泊のマンションの扉を開けると、暗闇のうえ強い雨だった。偶然車を待つ男性に居合わせ、空港まで相乗りさせてもらう。イタリアの航空会社のキャプテンだという彼はお金を支払おうとすると受けとらず、颯爽と去っていった。ひたすら飛行機に乗り続ける旅だけに、さりげない親切心が響く。

KLMオランダ航空で、ブカレストーアムステルダム(オランダ)ーコペンハーゲン(デンマーク)と飛んだ後、この旅行最大の危機がコペンハーゲン空港で起こった。

ゲートで待っている間に、乗るはずのスカンジナビア航空・ジュネーブ行きのファイナルコールを2人して見落とし、飛行機に乗り遅れてしまったのだ。

違和感を感じたのは、ゲートから飛行機へと続くボーディングブリッジの自動扉が閉まりつつある瞬間だった。顔面から血の気が引いたが、悔やんでいる余裕はなかった。その間にも選択肢は刻一刻と狭まってしまうからだ。

予定ではスカンジナビア航空でコペンハーゲンからジュネーブ(スイス)、さらにエールフランスでパリ(フランス)へ飛んで1泊。翌朝ジュネーブに戻って、ジェッダ(サウジアラビア)行きのサウディアに乗るつもりだった。

このミスをリカバリーするには、なんとか別のルートでスカンジナビア航空とエールフランスに搭乗し、ジュネーブ発ジェッダ行きのサウディアに乗る必要がある。

その場でGoogleフライトを使い検索すると、夜にコペンハーゲンからスカンジナビア航空で安い直行便が出ているのはオスロ、ロンドン、アムステルダムの3都市。

オスロは却下し、ドーバー海峡越えのあるロンドンもパス。となると行き先はアムステルダムしかない。だがエールフランスに乗るため、アムステルダムからパリへ行くにはどうしたらいいのか。

パリまでの長い道のり

検索すると、アムステルダム空港駅からアントワープまで鉄道で行き、そこから夜行バスでパリを目指すルートが出てきたので、そのルートに決める。

アムステルダム空港からなんとか予定の鉄道に乗り継ぎ、「これで一安心……」と思っていたら甘かった。

途中のロッテルダム中央駅で一向に出発しないと思ったら、車両トラブルで、別の列車に振り替えとなったのだ。これで、さきほどおさえたばかりの夜行バスには間に合わなくなり、1人20ユーロのチケットは紙切れと化してしまった。

仕方がないのでブリュッセルまで鉄道で行くことにし、ブリュッセル発パリ行きのバスチケットを改めて取り直す。バスがブリュッセルを出たのは午前1時49分だった。

泣き面に蜂とはこのことである。疲労困憊で、夜行バスがきついという感覚すら失われている。

だが、今回の経験を通じて、トラブルで急にフライトやバスなどを探さなくてはならないとき、GoogleフライトやGooglemapの検索がいかに心強いかということを痛感させられた。

この夜行バスに乗り込んだとき「ひどい経験だったが、これで峠は越えただろう」と安堵していた。後にこの認識が甘かったこと気がつかされることになる。→後編に続きます

【写真】100万マイルGetを目指した世界一周旅前編の様子を写真で(7枚)

橋賀 秀紀:トラベルジャーナリスト

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