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「SHOGUN」ゴールデングローブ4冠は何が凄いのか 浅野氏のスピーチは「最も誠実なスピーチ」に

東洋経済オンライン / 2025年1月7日 13時0分

SHOGUNは昨年9月、アメリカの優れたテレビ番組に贈られるエミー賞でも、最高の栄誉であるドラマ部門作品賞など過去最多の18の賞を獲得し、話題をさらった。シーズン2、3の撮影も決まっている。

真田氏演じる吉井虎永に絡むイギリス人のサムライ、ジョン・ブラックソーンを演じたコズモ・ジャーヴィス氏は、授賞式ののちメディアから007シリーズの「次のジェームズ・ボンド役」の声がかかるのではないかとインタビューを受けた(インデペンデント)。SHOGUN出演が大きな踏み台になりそうな勢いだ。ジャーヴィス氏は戸惑いながらも「ボンド役探しの人たちに、最大の幸運を」と答えた。

ゴールデン・グローブ賞はエミー賞と異なり、テレビだけでなく映画も対象。特に、映画界で最大の栄誉であるアカデミー賞の結果に大きな影響を与える。

ゴールデン・グローブ賞は、75カ国のジャーナリスト300人が投票し、その顔ぶれは60%の人種的多様性を確保しているという。そこでSHOGUNがテレビ部門の主要部門4冠を制覇したのは、ハリウッドだけでなく世界中に評価されたことになる。また、ハリウッドが、日本を含めたアジアの歴史と俳優に注目するきっかけにもなった。

ハリウッドでの日本の描き方に疑問

作品は、ウォルト・ディズニー傘下のFXが作家ジェームズ・クラベルのベストセラー小説「将軍」を映像化。天下分け目の「関ヶ原の戦い」前夜を舞台に、戦国武将たちの謀略に焦点を当てた。

カナダで10カ月をかけて撮影され、ハリウッドのスケールの大きさに加えて、真田氏が時代劇の専門家を日本から招き、小物や衣装、所作などすべての細部にこだわった制作が話題となった。

真田氏は2003年、映画「ラスト サムライ」でハリウッドに進出。トム・クルーズらと共演した。大ヒット作だったが、所作や着付け、小物などハリウッドの日本の描き方がステレオタイプだと疑問を持った。

以来20年あまり、世界に影響を及ぼすハリウッド製であっても、日本の文化や精神を正確に伝える「本物の(authentic)サムライ作品」を目指していたという。

SHOGUNに出演した俳優の竹嶋康成氏は、マーティン・スコセッシ監督が手がけた遠藤周作の小説が原作の「沈黙」にキリシタン役として出演。SHOGUNでも似たような配役だったが、両作品の違いについてこう語る。

「大物のスコセッシ監督の場合は、完璧に見せるというスタッフがいたものの、例えば日本の船を漕ぐシーンで、櫓が膝下までしか上がらないなどの間違いさえあった。修正をしたけれど、SHOGUNは最初からauthenticということにこだわった。見る人が見たら間違いが分かってしまうし、ちらとでも映るものでもいい加減にはしなかった」

アメリカ人が「字幕作品」に慣れた背景

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