空爆だけではない、ガザを襲う「ゆるやかな死」 ジャーナリストが語る「ジェノサイド」の実態
東洋経済オンライン / 2025年1月8日 8時0分
パレスチナのガザやイギリス・ロンドンを拠点に活動してきたパレスチナ人ジャーナリストによる記者会見が2024年12月16日、東京・永田町の衆議院第1議員会館で開催された。
ガザでは、現在も毎日のようにイスラエルによる空爆が行われ、学校や病院、上下水道などのインフラ施設や住宅の多くがすでに破壊されている。支援物資の搬入もままならず、市民は飢餓や病気の蔓延により、「ゆっくりと殺されている」と、記者会見に臨んだジャーナリストのユーセフ・アルヘルー氏は指摘した。
イスラエルのやり方について、アルヘルー氏はガザ市民に対する「ジェノサイド」(集団殺害)に相当すると厳しく非難し、日本をはじめとする国際社会に対してイスラエルに攻撃の中止を迫るように求めた。
アルヘルー氏はパレスチナのガザ地区で生まれ育ち、現在まで20年にわたってジャーナリストとして活動してきた。10年前にはイギリスのオックスフォード大学からフェローシップを授与され、アルジャジーラやBBCなど数多くの国際メディアを通じて、ガザの悲惨な状況を世界に伝えてきた。現在はガザに関するドキュメンタリー映画を制作中だ。
妹および妹の7人の子は、がれきの下に
イスラエルによる大規模な武力攻撃は、2023年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル民間人の殺害や拉致に端を発したものだ。しかしその後、イスラエルはガザへの攻撃をエスカレートさせ、市民が多くいる病院やモスク、学校、住宅などにも空爆やミサイル攻撃を繰り返してきた。
ガザ保健当局によれば、現在までに約4万5000人が死亡したとされているが、「がれきの下に埋まっていて死亡が確認できない遺体が数多くある。保健当局の発表よりも犠牲者数が多いことは確かだ」とアルヘルー氏は語った。
アルヘルー氏自身も家族を失った。「2023年12月に、妹と妹の7人の子どもがいた建物に爆弾が投下され、8人は今もがれきの下に埋もれている」(アルヘルー氏)。
ジェノサイド条約では、ジェノサイドの要件として、「集団構成員を殺すこと」「集団構成員に対して重大な肉体的または精神的な危害を加えること」などのほかに、「全部または一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること」などがある。
ガザ市民に対するたびかさなる空爆や食料、医薬品供給の妨害は、国際条約で禁じられているジェノサイドに当たるとアルヘルー氏は指摘する。
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