NHKが「紅白歌合戦」で受信料に言及のびっくり "スタエン抜き"でも盛り上がった印象だが…
東洋経済オンライン / 2025年1月8日 13時0分
ただこれも、テレビ視聴率全体の傾向によるものかもしれない。
ダウントレンドが緩やかになった
ここ数年の上半期(4月〜9月)のPUT(総個人視聴率)の推移を見ると、先述の通りコロナ禍で2020年に急上昇したあと、ぐんぐん下がっていた。ところが2024年は0.3%減にとどまっている。ダウントレンドが緩やかになってきたのだ。
つまり「紅白」もこの流れの影響を受け、下げ止まったと見ることができる。放送からネットへのテレビ視聴の大きな変化が一段落つき、胸をなで下ろすタイミングが来たのかもしれない。
さらに、NHKプラスを通じて配信で見た人も増えただろう。YouTube「NHK MUSIC」では「ハイライト」も出場歌手ごとでも動画が視聴でき、莫大な再生数になっている。「紅白」はリアルタイムでなくても楽しめる番組になった。
2024年の「紅白」にはもうひとつ、見るべき要素がある。旧ジャニーズ事務所、スタートエンターテイメント(以下、スタエン)所属タレントの不在だ。
2023年に発覚したジャニー喜多川氏による性加害の影響で、同年の「紅白」は旧ジャニーズ事務所の出場者がゼロになった。2024年はどうなるかと思われたが、10月16日の定例会見でNHK稲葉延雄会長がスタエン所属タレントについて「新規起用を再開する」と明言した。
「被害者への補償と再発防止の取り組み、経営分離も進んでいる」のが理由としたが、どう見ても「紅白」に向けて出演交渉をするタイミングでの発言。NHK自身の反省はどうなっているのかと疑問に感じたのは私だけではないだろう。
ところがその4日後に放送された「NHKスペシャル ジャニー喜多川 ”アイドル帝国“の実像」ではあらためて性加害問題をえぐり出し、最後にNHKのコメントとして「この問題はこれで終わったとは考えていません」と表示した。稲葉会長の「再開宣言」との整合性がとれていないように感じた。
結局、スタエン所属タレントは紅白に出場しなかった。NHKはラブコールを送ったが、件のNスペが作用したかはわからないが、振られた形だ。
女性の視聴率が大きく下がった2023年
2023年の「紅白」については1年前の記事で分析し、女性の視聴率が各年代で大きく下がったことを示した。
なにしろ2022年にはSixTONES、関ジャニ∞(現SUPER EIGHT)、なにわ男子、KinKi Kids、Snow Man、 King & Princeの6組が出場したのに2023年はゼロになったのだ。一気に失ったことは大きな痛手になったはずだ。だからこそ、わざわざ会長に「再開宣言」をさせたのだろう。
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