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「吉沢亮のCM降板」アサヒに続くべきではない理由 「酒の失態」に厳しくならざるをえない現代だが…

東洋経済オンライン / 2025年1月8日 20時20分

「酒で失敗はしたが、才能もあるし、いい人だ」という世の中のイメージは崩れなかったのだ。

人々の心情はさておき、アルコールを扱っている企業としては、いずれにしても厳しい対応を取らざるをえない――というのが現実だ。

「お酒に酔って不適切な行動をする」ということは、アルコールを販売する企業としても防止しなければならないし、企業や商品の「顔」ともいえる広告起用タレントがそのような行動を取ることは、とうてい許容しがたいことだ。

アサヒビールの表明内容はかなり厳しいように見受けられるが、企業としての対応は完全に適切なものであるし、時代の潮流も鑑みて、あえて厳しい表明を行ったのではないかと推察される。

他社はアサヒビールに続くか

タレントの不祥事ではないが、サントリー「角ハイボール」の広告タレントは、小雪さん、菅野美穂さんと経て、現在、井川遥さんが3代目をつとめているが、前者の2人は、妊娠によって降板となっている。2019年のキリンビール「本麒麟」の滝川クリステルさんの降板も同様の理由による。

広告起用時は妊娠していなくても、「妊婦のアルコール摂取を促進するような広告は避けるべき」という判断が下されている。

アサヒビールに限らず、アルコールを販売する企業は、あらゆる側面から不適切な飲酒、あるいは飲酒に伴う不適切な行為を回避することが求められる。その流れに照らせば、吉沢さん降板は不可避であったし、既定路線でもあったといえるだろう。

では、他社の広告、あるいはメディアへの出演はどうなるのだろうか?

現時点では何とも言えないが、筆者としては、アサヒビールほど厳しい判断はされないと思うし、その必要もないと考えている。
 
冒頭で述べた4つの要素のうち、1つめの「違法行為をどのようにとらえるのか?」と、4つめの「企業や番組の倫理基準に照らしてどう判断するのか?」というのが焦点になると思われる。

今回の吉沢さんの行為が問題行動であるのは紛れもない事実だが、「アサヒビールは取り下げたからウチも」と同調するのが好ましいとも思わない。被害も限定的で、問題も解決している事案に対して、厳罰に処すことが健全なのか? ということもあわせて考えるべきだろう。

【写真を見る】「あまりにも皮肉すぎる…」吉沢亮が降板になった“ビールCMの中身”

西山 守: マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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