7歳で両親が離婚「蔦屋重三郎」の壮絶な生い立ち 養子に出た重三郎の実の父と母に対する感情
東洋経済オンライン / 2025年1月11日 8時45分
今年の大河ドラマ『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』は横浜流星さんが主演を務めます。今回は主人公である蔦屋重三郎の実父と実母について解説します。
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重三郎の生い立ちが記された墓碣銘
大河ドラマ『べらぼう』の主人公・蔦屋重三郎の生い立ちについて記された史料の1つに、「喜多川柯理墓碣銘」があります。
【写真】蔦屋重三郎とも交流が深かった大田南畝。写真は大田南畝の水鉢
この墓碣銘を書いたのは、重三郎と同時代人であり、交流もあった石川雅望(1754〜1830)です。浮世絵師として名高い石川豊信を父に持つ雅望は、学問に精進しつつも、狂歌にも関心を寄せ、大田南畝のもとで学びます。狂歌を量産し「関東狂歌界に大きな影を落とした」「天明狂歌四天王の1人」とまで評されました。
重三郎と雅望は仲がよく、重三郎が出版した狂歌に関する書籍には、雅望が編者の1人となっているものもあります。
雅望の家業は旅籠屋(江戸・小伝馬町)だったのですが、その家業に関連することで、無実の罪を着せられ、江戸追放の憂き目を見たこともありました。
こうして他国に10余年も蟄居することになる雅望。重三郎は、寛政9年(1797)に亡くなりますが、その頃には、雅望はまだ他国にいたのです。
雅望は、墓碣銘において、重三郎の死を「十里」隔たったところで、驚きを持って聞いたと書いています。「悲痛」の文字も見え、雅望の悲しみと衝撃の深さが窺えます。
では、墓碣銘には具体的に何が書かれているのでしょうか。
冒頭には「喜多川柯理本姓丸山蔦屋重三郎と称す」とあります。つまり、重三郎の姓は「丸山」だと言うのです。重三郎の父は(丸山)「重助」という名だったようです。母は「広瀬氏」とあります。
この2人の間に、重三郎が生まれたのは「寛延三年庚午正月初七日」(1750年1月7日)のこと。「江戸吉原の里」で生まれました。
重三郎の母の下の名は「津与」と言いました。墓碣銘によると、江戸生まれだったようです。一方で、父の丸山重助は尾張国(現在の愛知県)出身でした。
重助と津与がどのように結ばれたかまでは、墓碣銘に書かれていませんが、重助が尾張から江戸に出てきて、津与と出会い、結ばれたのだろうと想像できます。
2人の間に生まれた重三郎ですが、本名は「柯理」と言いました。重三郎というのは通称です。重三郎の「重」の字は、父・重助の「重」を貰ったものと推測されます。重三郎に兄弟がいたのか、父・重助がどのような人物で、何を生業にしていたのかまではわかりません。
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