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小学生には「算数ドリル」がどうしても必要な訳 機械的な作業に思えても重要な意味がある

東洋経済オンライン / 2025年1月14日 14時0分

西成先生:気持ちはわかります。ただそれは「受験のため」でも、「親や先生に褒められる(叱られない)ため」でもなく、「自分が社会にでたときに困らないため」、そして「自分が社会に対して貢献するため」だということをしっかり教えてあげてほしいと思います。

郷さん:わかりました。

算数教育の微妙なサジ加減

郷さん:てっきり算数って中学以降の準備だと思っていました。

西成先生:もちろんその側面もあります。だからアメリカだと小学校でもmathと呼ぶし、算数をマスターしていないと中学以降の数学についていけません。

郷さん:それはそうですよね。中学の数学って、いきなり概念的な世界に飛び込むじゃないですか。

西成先生:小さい子どもって抽象的なことを考える力が育っていないことが多いので、数学を早め早めに教えればいいという話でもないんです。

郷さん:たとえばxが出てきて、方程式を解いて、それをグラフで書いて、みたいな。

西成先生:そう。レベルが上がるにつれ、現実世界から遠くなるのが数学の宿命。でも、小さい子どもにはそれが難しい。

だから「A子さんからりんごを2こもらいました」みたいな身近なところからまず入って、少しずつ話の抽象度を上げていくという微妙なサジ加減が算数教育では大事です。

今回、改めて小学校の教科書を読みましたけど、サジ加減という点ではすごく気を遣っているなという印象を受けました。

郷さん:あら。めずらしく文科省を褒めていますね(笑)。

大人こそ、算数で「数学アレルギーの根本治療」を

西成先生:ただ、子どもの脳の発育速度や理解度はバラバラだから、理解が追いつかなくなる子どもが出てくるのは当然ですよね。

このあたりは最近、普及が進んでいるAI 型教材などで解消されてほしいと願っています。あと声を大にしていいたいのが、算数は小学生レベルにしてはとにかく難しい。特につまずきやすいのが「割り算」「分数とその計算」、そしてなんといっても「割合や比」です。

郷さん:グッ。割合はいまだに超苦手です。

西成先生:これらは中学生以上のレベルです。それを小学生のうちにマスターしないといけないのはキツイ。でも、中学生になったら他にも学ぶことが増えるので、算数を学び直すことなく、次へ、次へと進む。気がついたら文系に一直線という人も多いんじゃないかなと思うんです。

郷さん:それ、わかる気がします。

西成先生:だから今回、大人こそ読んで学び直しをしていただきたいですね。さしずめ「数学アレルギーの根本治療」。数学への道を取り戻してほしい。

郷さん:数学が苦手だった原因は、算数にあったんですね。

西成先生:割り算、分数、割合こそが算数のラスボスです。

郷さん:ぜひ、倒しましょう!!

西成 活裕:東京大学先端科学技術研究センター教授

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