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中国製造業の海外移転、「トランプ2.0」で加速へ 部品など「中間財」の東南アジア向け輸出が急増

東洋経済オンライン / 2025年1月17日 17時0分

欧米向け輸出製品の生産拠点を東南アジアに移す中国企業が増えている。写真は太陽光パネル大手の隆基緑能科技がマレーシアに建設した工場の稼働式典(同社ウェブサイトより)

アメリカの第2次トランプ政権の発足が近づく中、中国の製造業が(欧米向け輸出製品の)生産拠点を東南アジアに移す動きが加速している。かつては最終製品の組み立て工程の移転が中心だったが、ここにきて部品や原材料などの中間財にも範囲が広がり始めた。

【写真】サムスン電子のベトナム工場(同社ウェブサイトより)

この流れは中国の通関統計からも見て取れる。中国海関総署(税関)のデータを見ると、ベトナムなどの東南アジア諸国に中国から輸出される中間財が顕著に増加しており、中でも電子部品などを含む「機電製品」の伸びが目を引く。

例えば、2024年1月から11月にかけて中国からベトナムに輸出された機電製品の中間財は(金額ベースで)前年同期比32%増加し、機電製品の輸出全体の7割を占めた。

総輸出の半分が中間財に

近年、中国の輸出総額に占める中間財の比率は着実に上昇しており、2020年の45%から2023年には50%に達した。

その輸出先を地域別に見ると、東南アジア向けの比率の拡大が(他の地域に比べて)際立っている。中間財の総輸出額に占める東南アジア向けの比率は2013年には約13%だったが、2023年には18%近くに上昇した。

「これらの中間財の一部は、海外に投資(して生産拠点を移転)した企業の需要に基づいて輸出されている。近年のトレンドである中国企業の対外直接投資の拡大に符合する動きだ」。華泰証券の首席マクロエコノミストを務める易峘氏は、調査レポートの中でそう分析した。

広西大学中国・アセアン研究院の羅伝鈺・副院長は、第2次トランプ政権の発足後に中国製造業の東南アジアシフトがさらに加速すると予想している。その根拠は、新政権が輸入製品に適用する原産地ルールを厳格化するのが確実視されていることだ。

最終製品の組み立てだけを海外に移した中国企業は、第2次トランプ政権による原産地ルールの変更で(中国からの迂回輸出と見なされて)打撃を被る可能性が高い。それは見方を変えれば、「より多くの中国企業が部品や原材料の生産も海外に移す契機になる」と、羅副院長は指摘する。

中国から東南アジアへの産業移転は、当初は製品の原産地のラベルを中国から別の国に“書き換える”のが目的のケースも多かった。しかし今後は、東南アジアに工場を建設して本格的な現地生産に移行する中国企業がますます増加しそうだ。

サムスンやアップルが先導

「その過程では最終製品のメーカーはもちろん、サプライチェーン(供給網)の上流側に位置する部品メーカーや原材料メーカーにも、徐々に移転が広がるだろう」。羅副院長はそう予想する。

例えばエレクトロニクス産業では、サムスン電子やアップルなどのグローバル企業が製品の生産拠点を(中国から)ベトナムやインドに移しつつある。それに伴い、サプライヤーの中国企業が部品の現地生産を要請され、集団で進出する動きがすでに見られる。

とはいえ、複雑な国際政治の先行きは不透明だ。個別企業のレベルでは、各国の貿易政策や経営環境の変化は予測も制御もできない。それだけに、海外進出する中国企業は変化に合わせて素早く動く必要があり、強靱かつ柔軟な適応能力が求められる。

(財新記者:李蓉茜)
※原文の配信は1月6日

財新 Biz&Tech

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