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半世紀も着工せず「東九州新幹線」独自ルートの夢 建設の機運を高めるべく大分と宮崎が動き出す

東洋経済オンライン / 2025年1月18日 17時0分

特に久大本線ルートでの新大阪への所要時間は、現行の山陽新幹線と特急ソニック乗り継ぎの所要時間と大きく変わらない。

東九州新幹線の運行主体はJR九州となるが、博多駅から小倉駅の区間はJR西日本所有の山陽新幹線であるため、日豊本線ルートで博多駅と大分駅を結ぶ列車を運行する場合、さまざまな制約を受ける反面、久大本線ルートではそうした制約がないというメリットがあるといった具合に、どちらのルートも一長一短である。

こうした久大本線ルートの提案に対し、沿線の日田市では歓迎の意を示すのに対し、日豊本線ルート上の中津市は不快感を示しており、議論が2分されている。

しかし、活発な議論が東九州新幹線建設促進運動の機運上昇にもつながるため、この状況は大分県にとっては好ましいものなのかもしれない。

宮崎県にとってあまりに高額な日豊本線ルート

東九州新幹線について、宮崎県では深い議論が行われることがなかったが、2023年11月、宮崎県知事が新八代ルートを有力な選択肢として示したことで、大きく状況が変わった。

宮崎県が新幹線に対する考えを変えたのは、2023年6月、政府が公表した「骨太の方針」にて、新幹線基本計画路線の今後の方向性について、調査検討を行うと記載されたことによるもので、四国を始め、各地で次の新幹線誘致活動が活発なものとなっており、宮崎県においてもその検討を本格化させる時期がきたと判断されたと考えられる。

また、大分県が久大本線ルートの提案で議論を活発化させたことにより、宮崎県でもまったく別のルート構想を提示することで、同様の効果を狙ったこともあるだろう。

このような県知事の意向を受け、宮崎県は2024年度予算に、東九州新幹線調査費用を計上し、元々の日豊本線ルートに加え、日豊本線ルートの部分開業といえる鹿児島中央先行ルート、そして知事が選択肢として示した新八代ルートの3つを調査する方針が決定された。

日豊本線ルート及び、その部分開業にあたる鹿児島中央先行ルートは、2016年3月の調査結果にて事業費の試算や時短効果が示されており、事業費は小倉駅が位置する北九州市から鹿児島市へのルートで総額2兆6730億円。大分駅から宮崎駅の区間で1兆1840億円、宮崎駅から鹿児島中央駅の区間が7110億円とされているが、8年前の調査結果であり、近年のインフレなどを考慮すると、相当上振れしていると思われる。

時短効果は、大分駅から宮崎駅で現行約3時間20分が約50分に、宮崎駅から鹿児島中央駅が現行の約2時間10分から約30分に、それぞれ短縮されるとしている。

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