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分数の割り算はなぜひっくり返して掛けるのか? 子どもに聞かれてわかりやすく説明する方法

東洋経済オンライン / 2025年1月18日 18時0分

分数の割り算を攻略! ~整数で割る~

郷さん:分数を整数で割るときは?

西成先生:整数を分数に置き換えて、ひっくり返して掛け算をすればOKです。

西成先生:このような解き方もあるし、「2等分されたものをさらに3等分する」という式の意味からちゃんと考えていくと、実は先ほどやった分数と分数の掛け算の話にいきつきます。つまり、2等分したものの1つを、さらに3等分したと。

郷さん:あ、そうか。「2×3」だから6等分ですね。

西成先生:正解です。

分数の割り算を攻略! ~計算を真に理解~

西成先生:計算式はいま教えた通りですけど、大事なことは「なぜ?」ですね。仮に計算式を忘れても、自力で計算式を導きだせるように説明をします。

まず、割り算は分数に変換できますよね。割る数が整数だろうと分数だろうとその原則は変わりません。だったら思い切って分数の形にしてみましょう。

郷さん:だいたんな発想!

西成先生:「A÷B=A/B」ですから、「1/2÷2/5」を分数にするとこのような分数になります。

郷さん:分数の中に分数はあり?

西成先生:全然ありです。こういう分数を連分数といいます。真ん中の横線を長めに書くとちょっと数学者っぽくなります。ちなみにこの状態で答案用紙に答えを書いても数学的には正解ですが、先生によっては怒るかもしれません(笑)。

分母の2/5をすっきりした形にしたいと思います。ここで、6年生で習う武器を伝授します。「逆数」というものです。「A×□=1」の□にあたる数のことを、Aの逆数と呼びます。Aが整数の場合、Aの逆数は1/Aです。なぜかわかりますか?

郷さん:えっと……□を逆算すると、□=1÷Aだから。

西成先生:あるいはもっと単純に「Aに1/Aを掛けたら、約分でAとAが消えて1しか残らないから」と考えてもかまいません。

そしてAが分数x/yの場合、Aの逆数はy/xです。分数をひっくり返したものですね。こちらも、x/yにy/xを掛けたらxとyが両方とも約分で消えて、1しか残らないからです。

逆数を掛けると分子だけがすっきり残る

西成先生:では、改めて分母の2/5をよく見ます。この連分数を一番すっきりさせる方法は、分母を1にすること。分母を1にすれば分子しか残りませんからね。では2/5を1にするにはどうすればいいのか。

郷さん:あ、ここで逆数を掛けるのか!

西成先生:そう。2/5の逆数は5/2です。しかし、分母だけ掛け算すると意味が変わるので、分子にも同じように5/2を掛け算します。すると分母は1になり、「1/2×5/2」という分子だけが残ります。

郷さん:だから逆数を掛けるんですね! ちょっと感動。

西成先生:ほかにもいろんな説明のしかたがありますけど、たぶんこれが一番納得感があると思うんです。

郷さん:「分母をすっきりさせるために逆数を掛けた」で説明できますからね。これを娘に説明する日が待ち遠しい(笑)。

西成先生:「逆数」とか「分数の性質」とか、教科書では断片的に知識を学んでいくことになるので、「これってなんの役に立つの?」と思う場面が多いと思います。でも、そういう知識って、ロールプレイングゲームでいうアイテムや武器みたいなもので、分数の割り算のようなラスボスと戦うときに使うことになるんです。

西成 活裕:東京大学先端科学技術研究センター教授

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