「何したいかわからない」石丸新党の最終的な狙い 既存メディアとの対決に"落とし穴"も
東洋経済オンライン / 2025年1月18日 8時10分
石丸氏は広島県安芸高田市出身の42歳。京都大学卒業後、今の三菱UFJ銀行勤務を経て2020年、地元・安芸高田市長選挙に出馬し初当選。市長就任後には、市議会の最大会派との対立なども含め、SNSでの積極的発信で注目を集め、任期途中で辞職して昨夏の都知事選に出馬、立憲民主党が「小池氏打倒の唯一の切り札」として擁立した蓮舫前参院議員を大きく超え、小池氏に次ぐ165万票余を獲得して、中央政界にも衝撃を与えた人物だ。
だからこそ、今回の「何もかも常識破りの石丸新党の都議選での“戦果”に、一般都民も興味津々」(都選管関係者)であることは間違いなく、選挙アナリストの間では、早くも新党の獲得議席予測が出回り始めている。
“石丸旋風”再現でも「10議席前後」との見方も
そこで問題となるのは、現在の都議会の基本的構成だ。都議会の議員定数は127人で、各会派の議員数は=自民30・都民ファ27・公明23・共産19・立憲民主14・ミライ会議4・自由を守る会2・無所属5・欠員3=だが、中央政界と異なり、都民ファも含め、組織力がある政党が優位で、維新や国民民主などは会派結成すらできていない。
そもそも、都議選は23区とそれ以外の各市や郡部に細分化されているため選挙区数は42と多く、いわゆる「中選挙区制」だが、23区も含め定数3以下の選挙区が29、定数4以上が13となっている。そうした都議会の「特殊事情」も踏まえれば、「各議員が市区町村単位で独自の組織票を持つという現状にどう挑むかが、石丸新党の最大の課題」(選挙アナリスト)となる。
このため、選挙関係者の間では「全選挙区に候補者を擁立しても、新党の候補の議席獲得が見込めるのは定数4以上の選挙区にほぼ限定され、なかでも定数5以上の8選挙区が狙い目で、“石丸旋風”再来でも獲得議席は10前後」(同)との見方が支配的だ。ただ、次期都議選は石丸新党だけでなく、これまで存在感を示せなかった維新、国民民主を含めた「新勢力」の参戦が確実視されているため、「過去にない大乱戦となり、これまでの都議会勢力図が一変する可能性が大きい」(同)とみられている。
そうした状況も踏まえ、石丸新党を迎え撃つ与野各党の受け止めもさまざまだ。自民党都連会長の井上信治・元万博担当相はNHKの取材に対し「都知事選挙であれだけの得票を得た人なので、一定の影響力はあると思う」と警戒心を隠さなかった。また、小池知事の支持母体となる都民ファ・森村隆行代表も「石丸氏の主張はわれわれが行ってきた改革と共通する部分もあるが、都民ファーストの会は都民の活力を最大化するため小池知事と協力しながら政策の実現まで行っていくのが最大の違いだ」と対抗心をあらわにした。
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