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明治チョコレート、カカオ高で決めた「究極の選択」 味と手頃な価格を両立することができるか?

東洋経済オンライン / 2025年1月19日 8時10分

「ついに準チョコに変えてしまったのか」――。

一部の明治OBからはそんな苦言も聞こえてくる。規格変更に対しては賛否両論のようだ。

それも無理はない。明治のチョコ製品は長年「チョコレート」規格だった。かつて粗悪品が多く出回っていた中、明治は欧州由来の本物のチョコを普及させるという信念の下、厳しい基準を遵守してきたためだ。

過去には「カカオはたくさん使っているほうがよい」というマーケティングを行っていたこともある。チョコレート規格を維持することは、いわば明治の歴史とプライドの表れだった。

しかし、足元の状況は大きく変わっている。今後も大幅な値上げを続けていけば、消費者が離れ、販売数量が減少する懸念もある。

チョコ製品は子どもから高齢者まで、手頃な価格とおいしさの両面から支持されてきた。可能な限り、値上げ幅を抑える努力が必要だった。

明治のカカオ開発部カカオグループ長の北林孝裕氏は「(チョコレート)規格が重要だという思想でチョコを販売してきた明治にとって、規格変更は究極の選択だった」と明かす。その一方で「代用脂は価格と味を両立させている。決して悪いものではない」とも説明する。

発売約100年の伝説チョコレート

他方、昨年10月以降もチョコレート規格を死守し、本物志向で勝負している商品もある。

看板商品「明治ミルクチョコレート」は、代用脂を使用しないなど、厳密な基準を満たした「純(ピュア)チョコレート」で、1926年の発売から約100年間レシピを変えていない。競合他社の板チョコは代用脂の入ったものが大半で、原料面で差別化ができている。

カカオ72%、86%、95%などのラインナップがある「チョコレート効果」もカカオの配合量の多さで根強い人気を獲得している。同商品も代用脂を使用しない製法が売りだ。

今後はこだわりの製法や歴史、高カカオのメリットを押し出す商品と、手頃な価格とおいしさを両立させた商品に分けて、マーケティングを打ち出す方針だ。

従来の「本物のチョコ」に出会う機会は減ったが、節約志向が強まる中で、消費者を納得させる商品を提供し続けられるか。より柔軟な商品戦略が求められそうだ。

田口 遥:東洋経済 記者

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