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大河「べらぼう」描く"性風俗メディア"何が凄い? "蔦重"が仕掛けた広告・マーケティングの中身

東洋経済オンライン / 2025年1月19日 12時0分

「吉原細見」は江戸時代の隠れたベストセラー本、ロングセラー本といわれるが、そうなる必然性は十分にあったのだ。

古代からあった風俗店の広告

時代も場所も大きく変わるのだが、トルコのエフェソス遺跡の中に、有名な「風俗店の広告」が残っている。

エフェソス遺跡は、古代ローマ時代の都市遺跡だが、娼館が存在しており、その近くの路上の大理石には、娼館の広告といわれる絵が残されている。

偶然なのだが、筆者は、まさに今年の正月に現地を訪れていた。

やや見づらくて恐縮だが、左上にハートマーク、真ん中に足跡、その右に女性の顔、右下にお金のイラストが刻まれている。

このイラストは、「女性が心を込めてサービスするから、お金を持って来てね」ということを意味するといわれている。真ん中の足跡の意味するところは諸説あり、娼館の方向を示しているという説、足のサイズが足型より小さい人(子ども)は利用できないことを示しているという説がある。

なお、このエフェソスの絵図は「世界最古の広告」と形容されることもあるが、実際はそうではないようだ。娼婦に関しても、「世界最古の職業」と言われているが、これもどうも正しくはないようだ。

いずれにしても、娼婦は世界最古の職業の1つではあり、それに対する広告・宣伝活動が、古代から行われていたということは紛れもない事実である。

性欲というのは、いかに文明が進化しても、不変の人間の欲望であるが、その現れ方は時代によって変わってもくる。

性風俗が大衆化して、文化として洗練されて、それに付随するメディア、および広告・宣伝手法も発展したのが、蔦重が生きた江戸中後期であると筆者はとらえている。

令和のメディア環境は江戸に近い?

江戸時代は、大衆文化は発達したが、現代的な意味でのマスメディアが存在していなかった。

では、いつからかといえば、明治時代に西洋文化が取り入れられ、活版印刷技術が発達することで、新聞や雑誌などのメディアも普及していった。時代は下り、第二次世界大戦後にテレビの本放送が開始し、テレビメディアが急速に拡大。マスメディアの普及と足並みを揃えて、マスマーケティングの手法も発展、浸透している。
 
しかしながら、2000年代前後から、デジタルメディアが台頭、普及していき、近年では、新聞の販売部数、テレビの視聴率は低下してきている。「マスメディアの時代」が終わりを迎えつつあるのだ。

筆者が江戸時代に注目すべきだと考えている理由の1つとして、令和時代のメディア環境は、時代を一巡して、近代(明治~昭和)よりも、むしろ江戸時代に近くなっているのではないかと思うからだ。

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