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YouTubeとテレビの「テロップ」作り方が違う理由 同じ動画でも「フォント」や「画面構成」に大きな差

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 8時0分

昨今は、日本語フォントの種類が充実してきたことやWebなど他媒体との競合や共存が意識されるようになってきたことから、読みやすさとデザイントレンドを両立させたフォントの採用や自社開発を進める放送局が存在します。

一方、Webメディアはどうでしょうか。

TVで使用されるフォントは基本的に有償で、個人も多い中小の制作者には少なくない負担です。また、TV番組と同じ情報やジャンルのコンテンツを発信するとき、視聴者に訴求したいのはフォントがもたらす高いデザイン性や統一感ある品質よりも、コンテンツそのものと出演者の魅力やオリジナリティ、あるいは内容の速報性の方が重視されるでしょう。

したがって、一般的には、各編集端末に内蔵された標準フォントや映像編集ソフトにライセンシングされるフォント、例えばApple製品に標準採用されるヒラギノ角ゴシックやAdobe製の小塚ゴシックなどが選択されやすいようです。

例えば、下の図のように、複雑な装飾やデザインを施すのではなく、サイズを大きく、ウェイトを太く、とにかく読ませる手法を取る傾向にあります。

ここで、フォント選びが影響しているかもしれない一つの調査結果を紹介します。

総務省情報通信政策研究所による『令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書』よれば、10〜40代の情報源としての重要度は、インターネットが最も高く、次いでテレビ、新聞、雑誌の順でした。何かを知りたいときにまずインターネットで検索したりネットメディア、SNSを開いたりすることが多いということが窺えます。

一方、10〜30代の情報源としての信頼度はテレビ、新聞、インターネット、雑誌の順です。TV局のフォント選びがもたらす高いデザイン性や統一感が、信頼やブランディングにつながっている可能性は十分にあります。

このように、TVとウェブは同じ「動画主体」のメディアでありながら、視聴者ニーズや視聴環境、制作側の事情などが作用してフォント選びやレイアウトデザインの方向性に違いをもたらしていることがわかりました。

これは動画メディア自体が多様化していることの表れでもあります。また、トレンドが著しく変化する現代において、数年後には違う価値観のもとでフォントが選ばれているかもしれません。

番外編:フォントの基礎知識

一般的にフォントは明朝体とゴシック体に大別されます。

抑揚のある筆画で構成される明朝体は、主に小説などの書籍や新聞で使われています。小説では物語の情景がぱっと頭に浮かぶように、そして、新聞では情報がすっと入り込んでくるように設計されているのが明朝体です。

一方ゴシック体は、横組みで組まれる実用書や公共サイン、プレゼンテーションのスライドなどで使われることが多く、視認性が求められる場面では特に、その均質で整理された筆画が力を発揮します。

明朝体もゴシック体も、適材適所な使われ方が必要です。ある場所では非常に読みやすいフォントでも、場所を変えると読みづらくなってしまいます。さまざまな個性を持ったフォントが世の中には存在し、それらを使いこなすのがクリエイターの腕の見せどころでもあります。

家長 大輔:ロングハウススタジオ 代表取締役 クリエイティブディレクター

土井 遼太:書体デザイナー/グラフィックデザイナー

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