1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

セブン&アイ、業績悪化で単独路線にともる赤信号 買収提案の最終判断は5月の株主総会までと表明

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 10時30分

しかし丸山氏の言葉の裏には、「セブン&アイ単独路線が最もいいとの思いが透けて見える」と別のセブン&アイ幹部は語る。この幹部は、「これまでの主張を覆してまでイトーヨーカ堂の売却に踏み込んだのは、クシュタールからの買収防衛を図ってスタンドアローンで生きていくため」と言う。

事実セブン&アイは、それまでアクティビスト(物言う株主)から突き付けられた「コンビニ以外の事業を切り離してコンビニ専業になるべき」との要求に対して、「セブン‐イレブンの商品開発のためにイトーヨーカ堂が必要」と主張して拒んできた。ところがクシュタールの買収提案を受けた途端にこうした主張を翻し、イトーヨーカ堂を始めとする非中核会社31社で構成する中間持ち株会社ヨークホールディングス(HD)を設立、株式売却に向けて入札を行っている。

「これまで反発してきたアクティビストの主張にそのまま乗るかのような戦略に切り替えたのは、株価を引き上げて買収防衛を図るため。それくらいなりふり構っていられなくなっている表れといえる」とセブン&アイ幹部は明かす。

それだけに、「コンビニ専業」を打ち出した直後のコンビニ事業の業績悪化は、セブン&アイにとっては「最悪のタイミング」と言わざるをえないわけだ。

しかし明るい兆しは見えてこない。国内コンビニ事業では低価格商品の投入が効果を見せ始めているが、「物価高騰による実質賃金の低下で消費者の生活防衛意識は強まっているため、そうした戦略を打ち出す意図は理解できるが、しょせんは値引き。これまでセブン‐イレブンが評価されてきたような高品質な商品の提供とどのようにバランスを取るのか、その解は見いだせていない」(セブン&アイと取引のあるメーカー首脳)。

またアメリカのコンビニ事業についても「消費環境が厳しくガソリン需要も低下するのは必至。そもそもアメリカはガソリンスタンド併設型が中心で、都市型中心の日本のコンビニとはビジネスモデルが違う。今後も厳しい状態が続くのではないか」(同)という声は根強い。

コンビニ専業を目指すと打ち出した矢先に屋台骨がぐらついており、セブン&アイの行く末に暗雲が漂っているといえそうだ。

浮上するアメリカ事業のIPO構想

そうした中、3つのシナリオに加えて、4番目の案が浮上し始めている。アメリカコンビニ事業の新規株式公開(IPO)構想だ。

セブン&アイの取締役とアメリカ子会社の最高経営責任者(CEO)を兼任しているジョセフ・マイケル・デピント氏は、「セブン‐イレブンはそもそもアメリカ発祥のものだ」との考えを持ち、独立心が強いことで知られる。そのためセブン&アイは2024年2月期、前の期の2倍に当たる77億円もの役員報酬を与えてつなぎ止めてきた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください