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「フジvs.物言う株主」の焦点は経営陣のクビ提案 フジ・メディア株主構成は「安定株主で盤石」といえず

東洋経済オンライン / 2025年1月21日 7時40分

このときは、ROE(自己資本利益率)が目安とされる8%を大幅に下回る4.4%まで低下し、放送業界の中でも資本効率が極めて低いことを問題視していた。フジ・メディアHDは当時、「(MBOは)実現可能性に疑義がある」として拒否、ダルトンも株主提案までは踏み込まなかった。

ところが今回は明らかに事情が違う。今年6月の定時株主総会では、現取締役の再任を拒否しつつ新たな取締役を送り込むといった株主提案を行う可能性が高いと見られているわけだ。

2年前の総会は会長と社長の賛成率が警戒水準に

有価証券報告書によるとフジ・メディアHDの2024年3月末時点の株主構成(発行済み株式数ベース)は、金融機関17.8%、金融商品取引業者2.9%、その他法人30.3%、外国法人15.2%、個人33.8%となっている。

大量保有報告書では、アクティビストである投資ファンドのシルチェスター・インターナショナル・インベスターズ(イギリス)や、マラソン・アセット・マネジメント(同)なども株式を保有していることが確認できる。外国法人の割合はさらに高まっているものと見られる。

複数の投資ファンド関係者は、こうした株主のうち「外国法人は性加害などに関して敏感なため、ダルトンが提案したら賛成票を投じる可能性が高いだろう」と見る。

そのうえで、「フジ・メディアHDは対応のまずさで株主の信用を失っており、機関投資家や個人投資家が賛成に回れば過半を超えてダルトンの提案が通ってしまう可能性もある」と指摘する。

昨年6月の株主総会こそ、いずれの取締役もその選任にあたって70〜80%の賛成票を集めた。だが2023年6月の株主総会では、宮内正喜会長(昨年6月に退任)が56.61%、金子修社長が58.05%と警戒すべき水準に。安定株主で盤石とはいえないのだ。「今回はかなり厳しい数字になるのではないか」と見る市場関係者は多い。

フジ・メディアHDは今後、できるだけ早い段階で調査を実施する方針を打ち出している。しかしあえて日本弁護士連合会がガイドラインで示す第三者委員会には当たらない調査委員会を立ち上げるとしている。「お手盛り調査になるのではないか」といった批判も出ている。

こうした調査で真相や責任を明らかにすることができなければ、株主からの信用は失われるばかり。そうした事態に陥れば、株主によって現経営陣が引きずり降ろされてしまう可能性はあるといえそうだ。

田島 靖久:東洋経済 記者

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