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「サツドラ」がシェアオフィスに懸ける深い事情 人口減に向き合うドラッグストアの事業とは?

東洋経済オンライン / 2025年1月22日 8時0分

サツドラはなぜこうしたイベントを支援しているのか。同社は北海道でドラッグストアなど200店舗を展開する。ほかは沖縄の3店舗のみで、地域密着の経営が特徴だ。

2024年5月期の売上高は955億円、営業利益は13億円で、売上高・営業利益はともに過去最高を更新した。今年度は売上高が初めて1000億円に到達する見通しだ。

しかし、店舗数は2019年をピークに減少。直近の4年間は200店前後で横ばいだ。背景には北海道の人口減少がある。2020年から2025年にかけて北海道の人口は約20万人減少すると推計されている(国立社会保障・人口問題研究所)。

今後は出店可能な地域が限られ、次第に経営は難しくなっていくと見込まれる。そうした危機感から、2020年に「EZOHUB SAPPORO」(札幌市)をオープン。人口減少や過疎地域の問題に貢献できる新しい事業の模索を進めてきた。

事業を担当するサッポロドラッグストアーの満留真章マネジャーは「人口減少によって小売業だけでなく、北海道のさまざまな産業や自治体の運営が難しくなっていく。道内の企業や自治体が集まり、地域に新たな需要や雇用を創出するアイデアを生み出す場所が必要と考えた」と話す。

サツドラはEZOHUB事業に手応えを感じている。EZOHUB SAPPOROは2024年に200件以上のイベントや会議が開かれた。会員同士の間でベンチャー企業への投資や協業に関する動きも出始めている。

EZOHUB TOKYOでも、北海道で新たなビジネスを始めたい首都圏の担当者や、首都圏の企業や人材と関係を作りたい道内の担当者を呼び込み、人材交流や協業に向けた動きの活発化を狙っている。 

東京も2024年5月の開業をきっかけに、NTTドコモやキヤノンマーケティングジャパンなど、25の企業や団体が会員となった。オープンから約半年間で36件のイベントが開かれ、地域の魅力を紹介するイベントや首都圏のZ世代向けのインターンプログラムなどを1週間に1件以上のペースで開催。集客面では好調なスタートを切っているという。

一方、北海道での事業の立ち上げはまだ実現していない。そこでサツドラは2025年から道内のスタートアップ支援の財団などと連携し、首都圏の担当者を招く現地ツアーを行う。全国の企業と北海道の人たちをつなぐ新たなマッチングプログラムも開始し、協業支援を進める方針だ。

将来の北海道のために、ただの小売業ではダメ?

満留マネジャーは「EZOHUB TOKYOを立ち上げるまで社内でも議論があったが、人口減少が進む中で、単純な小売業から、地域と結びついてさまざまな課題を解決していく企業へと変わらなければならない」と語る。

積極出店で商圏を拡大するだけでなく、企業としての独自性や、他社にないサービスをどう打ち出すかが高いレベルで求められているという。

ドラッグストアの枠を超えた取り組みで、どんな新ビジネスを生み出せるのか。住民や地域の悩みに寄り添い、解決へ動き出したサツドラに、地元から熱い期待が寄せられている。

吉田 敬市:東洋経済 記者

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