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金融庁、トヨタ自動車子会社などを行政処分へ 保険金不正請求や体制整備義務違反を問題視

東洋経済オンライン / 2025年1月22日 21時0分

(撮影:梅谷秀司)

金融庁は、トヨタ自動車の完全子会社で、東京都内に200店舗超の販売店(ディーラー)を展開するトヨタモビリティ東京(東京都港区、佐藤康彦社長)と、東海地方で中古車販売事業を展開するグッドスピード(名古屋市、加藤聡社長)に対して、保険業法に基づく業務改善命令を出す方向で最終調整に入った。

【写真】トヨタ自動車の完全子会社で、東京都内に200店舗超の販売店(ディーラー)を展開するトヨタモビリティ東京

トヨタモビリティ東京をめぐっては2020年2月に、全体の約3割に当たる約70店舗で、2000件を超える車両塗装費用などの保険金水増し請求が発覚。2021年には国土交通省関東運輸局の監査によって、検査した機器の計測値を改ざんするといった不正車検も発覚しており、当時の経営陣らが「謝罪会見」を開いている。

体制整備義務違反を問われる可能性

金融庁は保険代理店を兼ねるトヨタモビリティ東京に対し、昨秋から立ち入り検査に入っている。検査の結果、保険金の水増し請求のほか、保険の契約者情報のずさんな管理や情報システムを通じた意図的な漏洩など、保険業法に基づく「体制整備義務違反も発覚している」(大手損害保険会社役員)という。

さらに、保険業法が定める「比較推奨販売」ルールにおいても、不適切な事例があったようだ。同社が店舗ごとに担当する損保会社を決める「テリトリー制」を敷いて、担当損保の商品を集中的に推奨しながら、明確な推奨方針を定めておらず、さらに推奨理由を顧客に一切説明しないなど、「ルールを逸脱した販売が一部の店舗で横行していた」(同役員)とみられる。

保険契約の見返りに、新車の販売価格を割り引くといった保険業法(300条1項5号)が禁じる特別利益の提供行為については、今回確認できなかったようだ。

トヨタ自動車グループ唯一の直営ディーラーとして、手本となるべき同社が「保険代理店としてあるべき体をなしていない」(損保幹部)ことを金融庁としては重くみて、行政処分が避けられないと判断したとみられる。

一方、グッドスピードをめぐっては、2023年8月に保険金不正請求の疑義が浮上し社内調査委員会を設置。同年10月には、調査した1664件のうち91件で「不適切疑義案件」があったと発表していた。

板金修理の作業時間を過大に請求

不適切疑義案件の主な内容は、「板金修理における作業工程時間の見解の相違により作業時間請求が過大であった事例など、板金および塗装における作業時間が不明確な事例が確認された」「エビデンスとなる作業実施の写真撮影をスタッフが失念し、本来請求に必要な資料が揃っていない事例や、塗装下処理のみで終了させたが請求内容は塗装実施といった、請求した作業内容どおりの作業がなされたかどうかが不明確な事例が確認された」などだ。

ただ、調査範囲が限定的だったため、損保各社は追加調査とともに、弁護士など外部の有識者による調査委員会の設置を繰り返し要請していた。

さらにその過程で、納車前の段階にもかかわらず、販売代金を先行して売り上げに計上するといった不正会計も発覚。一連の不祥事による販売の落ち込みや決算修正などの影響で、債務超過に転落すると、ガソリンスタンドなどを運営する宇佐美鉱油がTOB(株式公開買い付け)を実施したことで、宇佐美の完全子会社となり、2024年8月に上場廃止となっていた。

中村 正毅:東洋経済 記者

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