短大生が｢学科アイドル｣になって起きた衝撃変化 ｢学生アイドル＝遊び?学び?｣直撃取材した答え

そんな存在になるという過程にこそ学びがあり、学生たちにとって将来の芸能界や社会で活躍するための大きな財産となると今木氏は考えている。そしてこれこそが提唱する「アイドル力」だという。

収益とは関係のない学生アイドル

学生たちにとってのアイドルの有用性はあるものとして、もうひとつ気になることがある。

それは、アイドル活動を行う学生たちの立場だろう。この点に関しては明確だ。

「学生たちの本分は、あくまでも学業です。お客さんの前ではもちろんしっかりとパフォーマンスを披露しますが、学生たちはプロのアイドルではありません。もちろん、学外のイベントなどで他のアイドルのみなさんとご一緒することはありますが、やはり学生であることに変わりはありません」

つまり、あくまでも西短MP学科としてアイドル活動に取り組んでいるのであり、そのスタンスは変わらない。

その証拠に、他のアイドルでは必ずある「特典会」といった物販が存在しない。学生として活動しているので、収益は一切関係なく、当然チェキやCD販売といったこともないわけだ。

この点が、他のアイドルとは圧倒的に異なる点であり、「あくまでも学生である」という証明となろう。

アイドルというのは、常に競争の世界に身を置き、人気や売り上げなどを競っている。

当然、事務所に所属すれば売り上げが求められるし、採算が合わなければ活動できなくなることも多々ある。

だが、学生である西短MP学科さくら組には、その心配がない。

「まさに教育の場にいるというのが大きいですね。もちろん卒業後にプロのアイドルや俳優など人気が必要な世界に飛び込んでいく学生たちもいます。でも学生たちは、あくまでも学びの場でアイドルを行っているという位置づけなので、ビジネス的なことは一切関係ありません」

先にも述べたが、この部分は他のアイドルと圧倒的に異なる点である。

運営がいて日々の収益を数えるわけでもなく、アイドルが自身の売り上げ、たとえばチェキ枚数などを心配する必要がない。

アイドルの世界において精神的な負担となる競争要素が少ないことは、パフォーマンスを磨くことに集中できるこのうえなくいい環境と言える。

これが教育の場にいるアイドルというわけだ。

プロ意識とは何か

しかし、それゆえ「プロ意識」という点では、やはり本物には及ばないこともある。

「学生たちには『常にプロ意識を持たなければいけない』と伝えています。特に学外の対バンではプロのアイドルの方々と一緒になるので、学生アイドルであってもお客さんに楽しんでいただく、笑顔を届けるというプロ意識を持って取り組むよう言っています」