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中国自動車大手「広汽集団」、大幅減益の背景事情 トヨタ・ホンダとの合弁会社の不振が痛手に

東洋経済オンライン / 2025年1月23日 18時0分

広汽集団はかつてトヨタ、ホンダとの合弁をテコに急成長を遂げたが、中国市場の変化への対応が遅れた。写真は広東省広州市の本社ビル(同社ウェブサイトより)

中国の国有自動車大手の広州汽車集団(広汽集団)は1月10日、2024年12月期の通期純利益がわずか8億~12億元(約172億~259億円)にとどまるとの業績見通しを発表した。これは前年比で約7~8割の大幅減益を意味する。

【写真】広汽トヨタが中国で現地開発した新型EV「鉑智3X」

広汽集団の説明によれば、自動車業界の価格競争激化や(スマートカーの人気上昇など)競争条件が変化した影響を受け、販売台数が減少したことが響いたという。

これに先立つ1月3日、同社は2024年のグループ販売台数が前年比2割減の200万3000台だったと発表していた。

価格競争がエスカレート

実際、自動車業界の価格競争はエスカレートする一方だ。自動車販売の業界団体である中国乗用車市場信息聯席会の崔東樹・秘書長によれば、中国市場では2024年に227車種ものクルマが値下げを実施。その数は2023年に比べて79車種、2022年との比較では132車種も増加した。

広汽集団に関しては、それに加えて広汽トヨタおよび広汽ホンダという2つの外資系合弁会社の販売不振が痛手になった。両社の品揃えはエンジン車が中心で、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)の本格投入が遅れたためだ。

その結果、2024年の販売実績は広汽トヨタが前年比22.3%減の73万8000台、広汽ホンダが同26.5%減の47万600台に落ち込んだ。

広汽トヨタと広汽ホンダは中国市場での失地回復を急いでいる。広汽トヨタは市場ニーズにより的確に対応するため、研究開発体制の現地化や中国の部品サプライヤーからの調達拡大を進めている。その成果の第1弾である新型EV「鉑智3X」を、2025年3月に発売する計画だ。

広汽ホンダは年間12万台の生産能力を持つEV・PHVの専用工場を建設し、2024年12月下旬に稼働させた。それに先立ち年間生産能力5万台のエンジン車の生産ラインを停止し、余剰生産能力の削減を進めている。

独自ブランドの販売も失速

「伝祺(トランプチ)」や「埃安(アイオン)」など広汽集団の独自ブランド車の販売が失速したことも、同社の業績悪化の一因になった。

なかでもEV専業の埃安は、2023年までの急成長から一転、2024年の販売台数は前年比22%減の37万4900台にとどまった。中国市場でPHVの人気が高まる中、品揃えがEVに限られ、新型車の投入もなかったことが顧客離れを招いたとみられる。

広汽集団は巻き返しの一環として通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と手を組み、新たな高級ブランドを立ち上げる計画だ。2024年11月に提携契約に調印した後、2025年1月10日には広汽集団の董事会(取締役会に相当)が事業会社の設立を承認。第1号モデルはメーカー希望価格が30万元(約646万円)クラスのスマートカーを予定している。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は1月11日

財新 Biz&Tech

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