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高速道路SAに「シャワーが足りない」衝撃的な理由 トラック運転手の需要は絶大にもかかわらず…

東洋経済オンライン / 2025年1月25日 8時50分

NEXCO中日本のSAPAを管理する「中日本エクシス」によると、シャワー施設における迷惑行為として、ドライヤーやシャワーヘッドの盗難、順番抜かしなどによる客同士のトラブル、大量の髪の毛や泥の排水溝詰まり、施設の破壊行為などが多く発生しているという。

が、なかでも深刻な問題行為がある。某県のSA関係者はこう話す。

「シャワールームに排泄物が残されていることがあるんです」

さらには、大浴場のある施設でも浴槽に排泄物が浮いていることがあるという苦情も。

「トイレ」問題においても、運送業界には“黄金のペットボトル”(尿入りペットボトルのポイ捨て)が、業界の社会的地位を奈落の底に突き落としている現実がある。ごく一部のドライバーの言動によってかなうものがかなわなくなり、結果、労働環境も社会的地位も悪化する現状は皮肉でしかない。

経営者向けの講演でドライバーのモラル教育の必要性を訴えると「そんな常識的なことまで口を出さないといといけないのか」という声も聞くが、門戸の広いドライバー職にはさまざまな価値観を持ち合わせた人が集まる。

ドライバー自身の意識も大切だが、業界の社会的地位の向上、そして何より彼らの労働環境の改善には、地道な教育によるモラルの底上げが不可欠なのだ。

今回、「NEXCO中日本」にシャワー増設の予定を聞いたところ、「具体的な箇所は検討中です。これまで東名・新東名を中心に展開してきましたが、今後は設置箇所の少ない路線に拡大をしていくため中央道、北陸道などの路線に拡大していく予定です」と、増設に向けて積極的に対策を進めているとのことだった。

必要なのは「完全な自由時間」

トラックドライバーの脳・心臓疾患の支給決定件数は15年連続ワースト。2位とも4倍以上の差がある。

その大きな要因として指摘されているのは、やはり「労働時間の長さ」だ。実際、トラックドライバー(大型)の年間平均労働時間は、他産業のそれよりも408時間も長いため、改善する必要は大いにあるだろう。

しかし、どれだけ労働時間を短くし、休める時間を増やしたところで、完全自由な時間が保障されているはずの休息期間すら拘束されることになれば、まったく意味がない。

縦にも横にも長い日本列島を走り回り、われわれの生活を下支えするトラックドライバーたち。

現場の環境改善にはトラックドライバーの倫理観向上が必要ではあるが、生理現象すら処理できない日常生活を強いられる労働環境は、もはや「人権問題」と捉えるべきだ。

この現状を改善するためには、長時間労働の是正以上に、我々が当たり前にできる日常生活を、長距離移動する彼らにもできるようにする「環境づくり」が必要なのではないだろうか。

橋本 愛喜:フリーライター

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