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ホンダ「N-VAN e:」変わらぬ美点とBEV化の恩恵 意見がわかれる電気自動車に新たな価値を創造

東洋経済オンライン / 2025年1月26日 13時0分

このように多くの美点を持つN-VANだが、その美点を損なうことなくBEV化がなされたN-VAN e:は、荷室スペースはほぼガソリンモデルと変わらぬスペースとフレキシブルさを持っている。

電動化による付加価値

それに加えてBEVとしたことで、駆動用バッテリーの電力を走行だけでなく、外部へ給電することも可能とし、ディーラーオプションで用意される「外部電源入力キット」を使用すれば、外部から電源を共有して車内で家電が使えるようになるだけでなく、自車の駆動用バッテリーから電力を供給して車内で使用することも可能となるのだ。

つまりN-VAN e:が移動可能な部屋になるというワケで、趣味の時間はもちろん、仕事に使う際でも駐車スペースさえ確保すれば、どこでも愛車を事務所にすることもできるため、筆者のようなフリーランスの人間にとっては非常に魅力的に思えてくるのである。

搭載される駆動用バッテリーは29.6kWhと、このクラスの車両としては大容量で、カタログ上の航続距離も245kmと個人的には十分なもの。

もちろん走り味はBEVらしいスムーズかつトルクフルなもので、162N・mという最大トルクはN-VANのターボモデルを大きく上まわり、増加した車両重量を考慮してもかなりパワフルなものとなっている。

個人的にはもう少し俊敏な味付けでもいいかな、と思ったが、配送などに使用する際はあまり俊敏すぎても荷崩れの要因にもなりかねないため、主な使われ方を考えれば妥当なものともいえるだろう。

商用車でありながら一般ユーザーも納得のパッケージ

なお、同様のコンセプトのモデルの先駆者としては三菱の「ミニキャブEV」やOEMモデルの日産「クリッパーEV」が存在しているが、あちらはベースが1999年にデビューした6代目ミニキャブということもあり、ビジネスカーとして割り切るのであれば十分ながら、一般ユーザーが使うと考えるとあまりに華がなさすぎるのが難点だ。

そういった意味でも、N-VAN e:はビジネスカーとして使うユーザーだけでなく、趣味の相棒として検討している人も「いいな」と思わせる手法もさすがと思えた。

まだまだ補助金頼みの車両本体価格は正直きびしさを感じる部分ではあるが、BEVでの航続距離などに不満がある人にガソリンモデルのN-VANがあるわけで、ユーザーの選択肢が広がり、新たな魅力を創造してくれた点を個人的には評価したいのである。

小鮒 康一:フリー(ライ)ター

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