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結果的に「年収2000万円の夫」見つけた彼女の軌跡 年収を偽って婚活していた男性が秘めていた本心

東洋経済オンライン / 2025年1月26日 11時0分

年収3000万円の女性がマッチングアプリで出会った「最高の夫」とはーー(イラスト:堀江篤史)

「結婚は自分に制約を課すことばかりでメリットがないのではないかと思っていました。でも、2023年のはじめに人生設計が狂うような出来事があったんです。

いま話題のSNS型投資詐欺にまんまとハマり、懸命に働いて貯めた6000万円以上が1カ月で消えてしまいました……。そのときに初めて、心の底から頼れて相談ができるパートナーがほしいと思いました」

東京・茅場町にあるカフェで会計コンサルタントの水野由紀恵さん(仮名、41歳)と会っている。衝撃的な事件であるが、その詳細を聞くのは本連載の趣旨ではない。東海地方出身の由紀恵さんは大学進学時から首都圏で暮らしている。結婚願望の薄かった彼女の40年間を恋愛関係を中心に振り返りたい。

公認会計士を目指して猛勉強したのち、コンサルへ

大学卒業後は大手の化学メーカーに就職し、九州などで営業担当をしていた由紀恵さん。年功序列のゆるめの社風に飽き足らず、「もっとバリバリ働きたい」と思って公認会計士の資格取得勉強を始めた。

「結局資格は取れませんでしたが、会計系のコンサルティング会社に転職できました。31歳のときです」

その会社では期待以上にバリバリ働く日々が待っていた。出張続きで土日返上が当たり前。最初の3年間ほどは結婚などを考える余裕はなかった。

「飲み会で知り合った人と付き合ったりはしていましたが、そもそも私は『結婚は女性が割を食うだけ』だと思っていました。共働きが当たり前の時代ですが、家事や育児が多めに女性にのしかかるイメージが強かったです」

旅行と赤ちょうちん系飲み歩きをこよなく愛する由紀恵さん。結婚によって自由に使える時間やお金が少なくなることが耐え難かった。仕事は次第に軌道に乗り、38歳のときに独立。会計やITの分野のコンサルタントとして、大手企業の案件にチームメンバーとして入るようになった。現在、年収は3000万円に達している。

「1歳年下のITエンジニアの男性と付き合っていた時期もありました。でも、彼の年収は300万円台で私とあまりに違います。お酒好きではない節約志向の人で、私が好きな海外のビーチリゾートに一緒に行くときは私が2人分のお金を出していました」

ハイスぺ男性が集まり…

彼との関係性に違和感が募って別れた後で、冒頭の詐欺被害に遭った由紀恵さん。生きる気力を失うほどの辛い日々を送り、支え合えるパートナーを本気で探すことに決めた。2023年の冬のことだ。

由紀恵さんが利用した婚活ツールはマッチングアプリ。「結婚にこだわらない人生のパートナーが欲しい」「信頼し合いながら一緒に楽しい時間を過ごしたい」という自らの思いをはっきり書いた。なお、由紀恵さんは大きな瞳が印象的な愛嬌のある女性であり、服装はコンサバティブ。婚活では男性からの人気を得やすい外見だ。

「『いいね』を送ってくれた人の中から、メッセージのやり取りが気分良く続く5人の男性とデートしました。年収などのスペックよりも、高圧的だったり自分中心だったりしないどうかが私には重要です」

自分が相手に求めるものを的確に表現し、見た目はできる限り磨き、メッセージ内容から相手の性質や知性を推測する。いずれも自己責任で行うマッチングアプリに求められるリテラシーである。

のちの夫になる真人さん(仮名、49歳)は「スペックでは5人の中で一番良くなかった」と由紀恵さんは評する。年収は600万円~800万円の欄にチェックが入れてあり、年齢も高め。子どもはいないが1年前に離婚したばかりだという。

「他の男性はもっとハイスペックでした。私より4歳年下で年収1500万円、1歳年上で3000万円とかです。他には外国人の駐日外交官の男性もいました」

信頼できるパートナーと長期的な関係性を築くことを最重視する由紀恵さんはモテても浮かれなかった。それぞれとのデートで自分との相性を確かめて、最終的に真人さんを選んだ。

「年上の男性には介護と定年という2つのリスクがあると思います。でも、彼(真人さん)はスリムな体型なので健康リスクは低いと感じました。年齢より若く見えるのも嬉しいです。そして、彼は公認会計士の資格があり、会社の役員です。手に職があるので長く働けますし、私が取れなかった資格を持っているという点で尊敬もできます」

収入をわざと低めに申告していた夫のホンネ

真人さんは前妻の浮気で離婚したことが判明。自身は「若い女性と遊びたい」のではなく「共感し合える誠実な女性と穏やかに過ごしたい」という希望を持っていた。実際の年収は由紀恵さんほどではないが2000万円は超えている。低めの項目にチェックしたのは、「お金目的の女性とは会いたくない」という理由からだった。

「彼も赤ちょうちん系の飲み歩きが大好きなので、食の相性もバッチリでした。まさに理想通りの人です!」

興奮気味の由紀恵さんだが、2024年に「七夕婚」をした後もそれぞれの家を維持してゆるい別居婚を続けている。

「私は基本的に在宅で働いていて、忙しいときは早朝から夜遅くまで集中していたいからです。土日も関係ありません。それでも平均すると週5日は彼と一緒に飲んで一緒に寝ています。ずっと新鮮な気持ちで付き合うためにもそれぞれの家があるのはいいことだと感じているところです」

財布はもちろん別々で、共有の銀行口座に毎月それぞれが20万円ずつ入れて飲み代や旅行代に使っているという。ケンカは全くないそうだが、そもそも争うべき要素がない。金持ち喧嘩せず、である。

争いのタネがあるとしたら、真人さんが由紀恵さんの仕事ぶりや収入に嫉妬や対抗心を示す場合だろう。由紀恵さんはパートナーの選考段階で慎重に確認している。

「私は見た目が女性的なので年上男性などから『従えよう』とされがちです。でも、中身は競争が好きな男性的な性格です。子どもの頃も人形遊びには見向きもせずに男の子たちと戦う遊びをしていました(笑)。彼は誰に対してもフラットで対等で、『知らないから教えて』と素直に言える男性です。折衝の場でも、相手の立場を考慮しながら自分の意見もうまく通しています。正面突破型で相手とぶつかることが多い私にはできません。彼のことを人としても尊敬しています」

子どもに関しては、由紀恵さんは「自然にできたら受け入れるけれどできないほうがいい」というスタンスだという。真人さんのほうは「子どもがいる人生もありかな」と考えているようなので微妙に異なる。

「母親になることで、自分の役割がだんだん変わってしまうことが嫌なんです」

一方で、妻という立場は大いに楽しんでいる。2年前に投資詐欺に遭ってしまった由紀恵さんだが投資好きの性格は変わっていない。真人さんの信用力と資金を使って、自分が目を付けていたアパートを購入。今度の投資は成功し、家賃収入を2人の遊び資金にしているようだ。

「世間体を整えることには興味がないので、結婚式もしていないし結婚指輪も買っていません。友だちからは心配されますが、私たちにとっては晩酌をともにすることのほうが大事です。義母もお酒好きなので歓迎してくれていますし、私の両親とも彼は仲良くしてくれています」

彼女なりの必勝法

自由をこよなく愛し、仕事にも遊びにも妥協なく突き進んでいる由紀恵さん。やや特殊な価値観と行動だが、その婚活スタンスは様々な世代の人の参考になると筆者は思う。

自分が求める異性から求められるように努力し、興味を示してくれた人を中身と相性を重視して慎重に選ぶ。これが由紀恵さんの婚活必勝法だ。多くの男女は自らを省みることなく相手をいきなり選ぼうとして迷路に入ってしまう。ネット婚活だと魅力的な異性のプロフィールがいくらでも見られるので、なおさらこの傾向が強まる。まずは選ばれることが必要なのだ。

年収や学歴などは簡単に変えられないが、身だしなみや言葉遣いは改善することができる。柔らかな外見と中身重視の選考基準を貫いた由紀恵さんと、若々しさとフラットさで彼女の心をつかんだ真人さんを見習いたい。

本連載に登場してくださる、ご夫婦のうちどちらかが35歳以上で結婚した「晩婚さん」を募集しております(ご結婚5年目ぐらいまで)。事実婚や同性婚の方も歓迎いたします。お申込みはこちらのフォームよりお願いします。

大宮 冬洋:ライター

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