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「認知症かも?」の初動、意外と知られてない正解 「まずはどう動く?」「何科に?」専門医が解説

東洋経済オンライン / 2025年1月27日 11時0分

認知症診療を標榜していることが多い脳神経内科や総合診療科などの医師も同じで、すべての医師に認知症の診療経験があるわけではないと思います。

ただし、日本老年精神医学会と日本認知症学会に、認知症の「専門医」や「認定臨床医」を認める仕組みがあり、この認定を受けている医師は認知症に関する学識があり、診療や生活支援において専門性があると言えます。どちらも学会のホームページで認知症専門医や医療機関を検索することができるので、探して受診するのも一手です。

ほかにもいくつか認知症の専門医のようにもとれる任意団体の資格などもあるようですが、正しく認知症の専門医と言えるのは、いまのところ日本老年精神医学会か、日本認知症学会の認定を受けた専門医になります。

もう1つ、実際にはとても有効な、受診先探しの情報源は「口コミ」です。これは認知症の診療に限ったことではないですね。やはり実際に受診をしたり、主治医としてしばらく付き合ったりした結果、どうか。患者さんやご家族の実感に勝るものはないかもしれません。

とはいえ、インターネットの口コミなどは、ポジティブ発言はあまり投稿されず、ネガティブな発言が集まりやすいのも事実です。

専門性を調べ、口コミも調べて、受診先を検討するのがよいのではないかと思います。

認知症の人が病院へ行くのを嫌がるときは?

病気のとき、「自分は病気かもしれない」「病気だ」と認識することを「病識がある」と言います。アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の場合、初期には病識があるのが一般的ですが、進行すると病識が薄れてくる場合が多く見られます。病識の低下は、脳のどこが障害されるか、その部位と関係しているようではありますが、まだ詳細は不明です。

病識があれば、「病院に行かなくちゃ」と思えますが、病識がなければ、病院にかかる必要などないと考えるのが当然ですね。そこで、医療が必要だと感じるご家族と、不要だと主張する認知症の人と、衝突が生じて困っているケースに度々出会います。

ご本人は「絶対に病院には行かない」と言っていても、やはり何か病院にかからないといけない病気がある(ように見える)となると、訪問診療の対象になりますから、そのような場合は「在宅医療」を受けることを考えてみましょう。

在宅医療とは、自宅や施設など暮らしの場で医療を受けることです。

たとえ病識はなくても、認知症の人が「どこか、何かおかしい」という感覚をもっていることは多いようで、医師が訪問して診察をするというと受け入れられやすい場合も多いのです。

とはいえ、在宅医療を提供するクリニック(在宅療養支援診療所)のすべてが認知症の人を診ることができるかというと、必ずしもそうではないので、先にもご紹介した地域包括支援センターに相談するか、学会認定専門医で訪問診療してくれるクリニックがないか、探してみるといいでしょう。

認知症は暮らしの障害ですから、生活の場である自宅や施設で診療することは、症状やその原因の理解をしやすいというメリットがあり、「認知症×訪問診療」は親和すると感じています。

内田 直樹:認知症専門医、医療法人すずらん会たろうクリニック院長、精神科医

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